民間港で自衛隊訓練 県全域で大規模演習 今月下旬 石垣、与那国に艦船


社会
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 防衛省統合幕僚監部(統幕)が11月下旬に計画している自衛隊統合演習(実動演習)の一環で、沖縄本島や先島の民間港、民間地などを使用した訓練を予定していることが10日、分かった。関係者によると、石垣港に自衛隊の艦船が寄港し、与那国島との間で人員や物資の輸送訓練を実施する。本部町では電磁波を利用する「電子戦」を想定した訓練を展開する。自衛隊統合演習で県内の民間港を使用するのは初めて。

本部八重岳、中城湾も

 自衛隊の配備強化に反対意見も根強い中、民間地域を使用した訓練の実施は議論を呼びそうだ。

 自衛隊統合演習は隔年で実施される大規模な訓練で、陸・海・空を一体的に運用する「統合運用体制」の下での実施は今回で8回目となる。

 統幕によると、本年度の演習は11月19~30日までの間、全国各地で展開する。県内での演習に関し、統幕の担当者は「沖縄県周辺で一部の演習は予定しているが、現段階ではお答えできない」と本紙の取材に回答した。統幕は近く詳細を正式に発表する。

 「電子戦」の訓練が予定されている本部町によると、八重岳山頂付近の町管理地で、陸上自衛隊中央野外通信群(神奈川県)の車両と隊員が参加して訓練が実施される。陸自側は「システム通信訓練」と使用申請しており、日程は11月25~29日まで。町は「イベントなどとも重ならず、特段断る理由がない」として使用を許可した。

 石垣市港湾課によると、11月19、20日にかけて石垣港を海上自衛隊が利用すると申請があり、許可した。与那国町では県管理の祖納港を使用する。県港湾課は10日、本紙取材に使用申請が出ていることを認め「現在、八重山土木事務所で審査している」と説明した。

 複数の関係者によると、県内では海空域を使用したさまざまな訓練を展開する。民間港を活用した輸送訓練のほか、米軍が射爆撃場として使用している北大東村の「沖大東島」での訓練を予定。県内の自衛隊施設内や米軍基地訓練場の一部も使用する。中城湾港では借り上げた民間の大型輸送船で、県外から人員を輸送する。

 (池田哲平、塚崎昇平)