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宇宙ごみの脅威、ロシアの対衛星攻撃実験で増す【WSJ厳選記事】


ビジネス

企業や投資家は巨額の資金を宇宙ビジネスに投資


地球上を周回する国際宇宙ステーション


By Micah Maidenberg
2021 年 11 月 18 日 11:33 JST 更新プレビュー

 ロシアの対衛星ミサイル攻撃実験で発生した宇宙ごみ(デブリ)は、ここにきて広がりをみせつつある民間宇宙産業に新たな問題をもたらしている。

 足元では、新たな衛星の打ち上げや宇宙ステーションの建設、民間宇宙飛行士の参入を巡り、企業や投資家が巨額の資金を投じている。政府当局者によると、デブリが衛星などに衝突することで、宇宙開発が阻害され、必要な機器が破壊されることもあり得る。

 アキシオム・スペース(米ヒューストン)のマイケル・サフレディニ最高経営責任者(CEO)は、ミサイル実験で発生したデブリのうち、大きいものは特定できるとし、小さめの破片の一部はいずれ劣化するとの見方を示す。ただ、すべてが消える、または監視できるわけではないという。同社は民間の宇宙飛行士を現行の宇宙ステーションまで輸送するためのサービスを手掛けており、独自の施設も開発している。

 サフレディニ氏は「きちんと追跡されないまま、長い時間とどまるであろう宇宙ごみがなお存在する」と述べる。ただ、アキシオムは宇宙ごみを巡る懸念を理由に顧客を失うことはないとの見方を示した。

 政府当局者や宇宙業界の幹部らはかねて、衛星の衝突やミサイル発射で発生する金属破片に加え、旧型の衛星やロケットの一部といった宇宙ごみを監視してきた。米航空宇宙局(NASA)によると、米国防総省は5月時点で2万7000個以上の宇宙ごみを追跡している。

 その大半はソフトボールよりも大きいが、一部は2インチ(約5センチ)程度のものもあるという。

 米国務省は今回のロシアのミサイル実験によって、監視が可能な大きめの宇宙ごみ1500個および数十万単位の小さな破片が新たに発生したとの見方を示している。NASAでは、ミサイル実験を受けて、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する7人の宇宙飛行士がISSにドッキングされた宇宙船2機に緊急避難を余儀なくされたと説明している。破片の近辺か、その合間を2度にわたり通過したためだという。

 ロシア国防省は16日、実験によって生じた破片は「軌道上のステーションや宇宙船、宇宙活動の脅威ではなく、将来的にも脅かす存在にはならない」ことを米国は承知しているとして、ミサイル実験の決定は正当だったとの認識を示した。同省傘下の放送局ズベズダが伝えた。

 ホワイトハウス関係者はその日、ミサイル実験による破片は「今後何年にもわたり大気圏外の活動にとって直接的な脅威となり、国家安全保障や経済の繁栄、科学的発見であらゆる国々が頼りにしている衛星を危険にさらす」として、ロシアの行動を批判した。

 ロシア以外の国も、これまで軍の兵器実験で宇宙ごみを発生させている。2007年には中国が衛星をミサイルで破壊したほか、その翌年には米国も追随したと報道では伝えられている。またインド政府も19年にミサイルを使って衛星の破壊実験を行った。

 ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの宇宙物理学者、ジョナサン・マクドウェル氏は、07年の中国の破壊実験では追跡可能な3500個余りの破片が生じたとし、今でも大半は軌道上に残っていると指摘する。米国の実験では175個(そのすべてが再突入した)、インドの実験では破片1個が宇宙に残っているという。

 宇宙技術などに特化するスターブリッジ・ベンチャー・キャピタルのゼネラルパートナー、マイケル・ミーリング氏は、宇宙ごみが軌道にあふれる事態となれば、人工衛星の運営事業者が困難に直面するとの懸念を同社は抱いていると話す。

 こうした中、業界幹部からはロシアのミサイル実験を受けて、宇宙空間の利用に関する新たな規定の整備が必要だとの声が上がっている。

 ボイジャー・スペースの幹部、ジェフリー・マンバー氏は「宇宙ステーションに滞在する人々に危害を与えかねないほどの」破片を発生させるような行動は控えるよう、各国が合意する必要があると述べる。同社の子会社は米防衛大手ロッキード・マーチンと共同で「スターラボ」と呼ばれるステーションを開発している。




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