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コロナ自然発生説強まる 武漢データ見直しで【WSJ厳選記事】


中国

米の進化生物学者が初期感染例データなどを再構築した結果、生鮮市場との関連が鮮明に

By Betsy McKay
2021 年 11 月 19 日 09:31 JST 更新プレビュー


 ウイルスの起源に関する研究で定評のある科学者、マイケル・ウォロビー氏が、新型コロナウイルスについて、中国・武漢市の生鮮市場から感染が広がった可能性が非常に高いとの見方を示した。初期の感染事例に関するデータや報道などを見直した調査結果を18日、学術誌「サイエンス」で公表した。

 新型コロナウイルスが研究室から流出したのではなく、動物からヒトへと感染したことを示す証拠が改めて明らかになった。

 哺乳類の野生動物が生きたまま売られていた武漢の生鮮市場が果たした役割については、科学者の間で議論が続いている。アリゾナ大学の進化生物学者であるウォロビー氏は、2019年12月時点で最初に感染が確認された事例の多くが、直接的または間接的に同市場と関係していたと述べている。遺伝子データや報道、初期患者の話から、感染したのは同市場の勤務者か訪問者、または市場関係者との接触者、市場の近隣住民だったことが分かったという。ウォロビー氏は1918年に発生したインフルエンザのパンデミック(世界的大流行)やエイズウイルス(HIV)の起源に関する手掛かりを突き止めたことで知られる。

 分析した結果、最初に感染したとみられていた男性は実際には感染しておらず、後になって市中感染が広がっていた時期に感染していたことが分かった。その男性は生鮮市場を訪問していなかったため、これまでのコロナ起源を巡る調査では、この男性の事例を根拠に、市場との関わりの重要性に疑問が投げかけられていた。

 ウォロビー氏は今回、流行初期のデータなどを再構築した結果、初期の感染者は生鮮市場と何らかの関係があったことが示されたと述べている。同氏は論文の中で、市場に足を運び発症した人の大半は、コロナウイルスの宿主となるタヌキが生きたまま販売されていた売り場を訪れていたと指摘。これは「野生動物が生きたまま販売される生鮮市場がパンデミックの発生源であるとの強力な証拠を提供している」との見方を示した。

 同氏は「もはや武漢市場とのつながりを否定することはできない」と述べている。

 ウォロビー氏の研究結果により、コロナが自然発生したことを示す新たな証拠が加わったことになる。ウイルス学者ら専門家の大半は、武漢の研究所から流出した可能性は否定できないとしながらも、自然発生した可能性の方がはるかに高いとの見方を示している。

 最近の研究結果からは、コロナウイルスがコウモリから他の動物へと伝染した後、遺伝子の構成に重大な変化が生じ、ヒトへの感染が可能になったとみられることが明らかになっている。

 ウォロビー氏は自身の分析について、世界保健機関(WHO)調査団の報告書、ゲノムデータ、現地メディアの報道、後になって取り消されたもののネットのアーカイブに残っていた中国当局者の発表内容など、「入手できるあらゆるものを徹底的に精査した」と述べている。

 ウォロビー氏は武漢市内の病院で医師が診察した初期患者19人のうち、10人は生鮮市場で勤務していたか、そこを訪れていたと述べている。12月8日に罹患(りかん)した会計士の男性(41)は、最初の感染例とされるが、実際には歯の病気で容体が悪化していたことが明らかになった。コロナの症状を発症したのは12月16日だったという。その上でウォロビー氏は、この男性は市場を訪れておらず、市中感染した可能性があるとの見方を示している。

 




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