【記者解説】辺野古設計変更「不承認」 訴訟や選挙争点化も…県は国の主張真っ向否定


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埋め立て工事が進む米軍キャンプ・シュワブ沿岸=25日午後、名護市辺野古(大城直也撮影)

 辺野古新基地建設に伴う設計変更を県が不承認とした判断は、地盤やジュゴンへの影響など、国の調査不足を根拠とした。県の不承認で、国は予定する土砂量の大半を使う大浦湾側の埋め立てに着手できなくなり、新基地完成は見通せなくなった。基地建設を強行する国は不承認を無効化する措置を取る構えで、その後に想定される裁判闘争は長期化も予想される。

 県は地盤の安定性の調査不足などを挙げて「埋め立ての動機となった土地利用が可能となるまで不確実性が生じており、変更申請内容では普天間飛行場の危険性の早期除去につながらない」と指摘。「辺野古移設が唯一の解決策」と国が繰り返す主張を真っ向から否定した形だ。

 県の不承認に対し、国は早期に対抗措置を取る見込みだ。防衛局が行政不服審査制度に基づく審査請求をすることや、国土交通相が県に是正を指示することなどが想定される。国の対抗措置に県は一歩も退かない構えで、訴訟に移行する見通しだ。

 来年1月の名護市長選では、辺野古新基地建設を巡る県の不承認判断も争点の一つになりそうだ。来年秋には知事選が控え、玉城知事の今回の判断や県政運営に対して県民の判断が下ることになる。

 その中で、国は軟弱地盤改良工事を伴い、工事期間も費用も膨らむ新基地建設がなぜ、「唯一の解決策」なのか、説明責任を果たす必要がある。国は県の不承認を対抗措置で封じ込め、基地建設を強行するのではなく、協議の場を設け、県の指摘に応えるのが先決だ。 (塚崎昇平)


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