辺野古変更不承認 防衛省が12月に行政不服審査 1月の名護市長選も意識


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 【東京】米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、国が提出した設計変更申請を県が「不承認」としたことを受け、防衛省は行政不服審査法による対抗措置を講じることで調整していることが26日、分かった。岸信夫防衛相は同日の閣議後会見で「不承認の理由について精査を進めている」と改めて答えた。沖縄防衛局などでは、県の不承認に対する反論作成の作業を進めており、年内をリミットに、早ければ来週以降にも審査請求に踏み切る構えだ。

新たにN2護岸の工事が始まった新基地建設工事現場=8月27日、名護市辺野古(小型無人機で撮影)

 防衛省は2021年度の補正予算に、新基地建設費用801億円を盛り込んだ。埋め立て予定区域の軟弱地盤で設計変更が必要になった大浦湾側ではなく、辺野古側の埋め立てを加速させ、新基地建設を急ピッチで進める姿勢を明確に打ち出している。松野博一官房長官も同日の会見で、記者団から行政不服審査法に基づく審査請求など対抗措置を講じる可能性を問われ、「まずは変更承認申請をした沖縄防衛局において、不承認処分の理由の精査を進めていく」と述べた。設計変更にかからない部分の工事については「既に承認されている事案だ」と述べ、補正予算の裏付けをもって工事を加速させる考えを示した。

 政府関係者は審査請求のリミットを「年内」としたことについて、来年1月の名護市長選挙を理由の一つに挙げた。有権者の投票行動への影響は極力避けたいとの考えを示した。その上で「淡々と審査して反論が整い次第出す」とし、遅くとも年内の審査請求を視野に入れている考えを示した。

 玉城デニー知事は不承認を発表した25日の会見で、現在、進められている工事を含め、全ての埋め立てを中止すべきだと訴えていた。県幹部は「県は、軟弱地盤の存在で新基地の完成は難しくなっていると考えている。大浦湾側だけでなく、工事全体を止めるよう要求した。工事ありきで進めず、まずは県との対話に応じてほしい」と述べた。