留学待ち1000人…沖縄の日本語学校「在籍ゼロ」ピンチ オミクロン株で入国停止


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 新型コロナウイルスの新たな脅威「オミクロン株」の確認で、政府が外国人の新規入国を停止したことを受け、県内で学ぶ予定だった外国人留学生が窮地に陥っている。入国制限が始まった2020年4月から留学を延期してきた学生らは、留学を断念するか制限解除を待つかで心境が揺れている。受け入れ側の日本語学校も学生がゼロになるという危機に直面。当面1カ月とされる制限の行方に気をもむ。

日本語の勉強に励むフィリピン人留学生ら=2日、那覇市内の日本語学校

 「留学待ちの学生は県内だけで千人ぐらいいるのではないか」。ステップワールド日本語学院の仲筋耕一副校長は、長期化する入国制限により、母国で待機する学生が膨らんでいると推測する。政府が入国停止を発表した先月末以降、学生からの問い合わせも相次いでいるという。「学生は留学できなくなるのではないかと感じ、とてもナイーブになっている」

 沖縄ネパール友好協会のオジャ・ラックスマン幹事長も、ネパールの学生から相談を受けている。「沖縄に来る学生は20歳前後で、人生の分かれ道に立っている。1年、2年と待たされているうちに、母国の友人は働き始めている。『自分はこのまま留学を待っていいのか』と悩んでいる」と、学生の心境を代弁する。

 日本の入国制限は諸外国よりも強く、留学先を変更する動きもあるという。「もともとネパールの人は英語力が高く、米国や豪州などの英語圏は人気の高い留学先だ。あえて日本を選ぶ学生は、言葉の壁があっても日本の文化や技術を学びたいという考えがある。そのような学生と会えないのは残念だ」

 留学生の受け入れ停滞は、日本語学校の経営も直撃している。ある日本語学校関係者は「在籍中の学生は定員の10分の1ほど。今いる学生が来年3月に卒業すると、ゼロになるかもしれない」と心配する。入国制限は緩和された時期もあるが、入国の機会を逃した学生も多く、県内ではすでに学生がゼロになっている学校もあるという。

 別の学校関係者は「資金調達ができてなんとか経営を維持しているが、借り入れに頼っているのでとても厳しい」と窮状を訴える。「政府の入国停止は新規入国者に限定し、在留資格のある外国人や日本人の再入国は認めている。不公平感が強い。入国を止めるのではなく、入国後の待機徹底などの対策を強化すべきではないか」との批判も漏れた。

 (稲福政俊)