北大東村が自衛隊誘致 村議会が意見書可決へ


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北大東村役場

 【東京】北大東村が自衛隊の誘致に向け、防衛省などへ要請していくことが3日までに分かった。8日開会の村議会に議員提案で誘致に関する意見書案が提出され、9日に審議される。関係者によると全会一致で可決される見通しだ。村は意見書可決を受けて、通信部隊の配備を岸信夫防衛相に求めるという。

 意見書案は、村民らの陳情を基に議員提案に切り替えた。本紙が入手した陳情書では、自衛隊誘致による急患輸送など医療体制の改善・強化のほか、台風など災害への備えを利点に挙げている。

 また北大東島の近海で中国など外国艦船の訓練が常態化していると指摘。住民の不安を解消し、安全安心な生活を確保する上で自衛隊配備の必要性に言及している。配備について次期中期防衛計画の作成・立案に反映するよう求めている。

 鬼塚三典副村長は本紙の取材に対し「漁港の整備に伴い、船の乗り入れも難なくできるようになった。つい最近も韓国船が接岸し対応に困った事態も発生した。外国の不審船も見受けられ、村としても住民の安心安全のため誘致に取り組みたい」と話した。

 国に要請する際には中国軍の戦闘機や艦船などの動向をにらみ、レーダー施設を含む通信部隊の配備を要請していく考えを示した。

 6日に村議会の全員協議会が開かれ、自衛隊誘致の意見書案の宛先などを確定する。

 北大東村は沖縄本島から東方約350キロメートルに位置し、人口は600人弱。隣接する沖大東島は無人島で米軍の射爆撃場として提供されている。

  (斎藤学)