沖縄在来馬の可能性を議論 琉球新報で保存・活用へシンポ 馬との関わりや歴史学ぶ


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沖縄在来馬の保存や重要性などについて意見交換するパネリストら=5日、那覇市泉崎の琉球新報ホール(ジャン松元撮影)

 「沖縄在来馬を知るシンポジウム」(主催・全国乗馬倶楽部振興協会、共催・琉球新報社)が5日、沖縄県那覇市泉崎の琉球新報ホールで開催され、琉球、沖縄の馬と関わってきた文化や歴史を学び、宮古馬、与那国馬の種の保存の重要性などについて話し合った。会場には約100人が来場した。 

 「消えた琉球競馬・幻の名馬ヒコーキを追いかけて」を著したスポーツニッポン新聞社の梅崎晴光氏が、沖縄在来馬の歴史について講演した。梅崎氏は琉球王国時代、農耕用に県内各地で馬が飼育され、生活と馬が密接な関係にあった歴史を説明した。揺れの少ない、側対歩と呼ばれる同じ側の前後の足を出す歩き方で、国賓の冊封使をもてなしていたことなども紹介した。

 明治以降、木材運搬などの産業面と、軍事用の両面から、本土から連れてきた馬との交配による大型化が図られたことで在来馬は激減した。戦後は農業の機械化の進展で馬の需要が減ったが、現在では在来馬の価値が見直されている。

 梅崎氏は「沖縄在来馬は温和で人なつっこく丈夫な馬。観光乗馬など、時代に合った多くの可能性を秘めている」と話した。

 パネルディスカッションには6氏が登壇した。宮古島市史編さん委員の長濱幸男氏は、宮古馬は現在51頭まで増えたとして「種の保存と近親交配を避けるためにも100頭程度が必要なのでなんとか増やしたい。琉球と沖縄の歴史、文化を背負ってきた生き物なので、大事にしていきたい」と話した。

 ヨナグニウマ保護活用協会の中川美和子氏は、保護のために観光やホースセラピー、教育プログラムなどで活用しているとして「最終的にはどこにでもいて、気軽に乗ったり触れ合ったりできる存在になってほしい。馬を中心とした地域コミュニティーの形成ができれば」と話した。(沖田有吾)