エクモを安全に使うには? 医師ら第6波に備え操作学ぶ


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ECMOを装着した患者を移動させる研修を受ける医師ら=5日、沖縄市の県中部合同庁舎

 新型コロナウイルス感染症の第6波に備えて沖縄県は4、5の両日、重症患者の人工呼吸管理やECMO(エクモ=体外式膜型人工肺)の操作を学ぶ医療従事者向け研修を沖縄市の県中部合同庁舎で開いた。NPO法人日本ECMOnet(エクモネット)の協力で県外の専門医師ら約10人を講師に、コロナ患者を受け入れる医療施設の医師、看護師、臨床工学技士ら延べ約240人が学んだ。

 肺の機能が低下し人工呼吸器では間に合わなくなると、エクモを使う。命に関わる合併症を起こす危険性があるため、操作には知識や技術が必要だ。コロナ患者が急増した8月には操作できる職員が不足した。今後の感染拡大の懸念から人材育成が喫緊の課題だった。

 研修では初日に基本的な操作を学び、2日目の5日はエクモ装着患者を集中治療室から検査室に移動させる応用編を行った。移動中、エクモの電源が落ちるアクシデントが起きた。患者に心臓マッサージをしながら手動でエクモを動かすなど現場に即した緊迫した訓練となった。

 浦添総合病院の中泉貴之医師は「トラブル時に使用する付属品がなかった。必要な時にすぐに対応するための準備の必要性を気付かされた」と研修に感謝した。

 県内のエクモ使用例は年間10例程度で、経験を重ねるのも難しいという。エクモネットの小倉崇以(たかゆき)理事は「安全に搬送するためのガイドラインや人を育てるシステムが必要」と指摘した。

(黒田華)