
台湾の若いドライバーが日本で初めて経験することの一つに、高速道路の料金所での係員への支払いがあるかもしれない。台湾は2014年に高速道路の全面自動料金収受システム(ETC)化を実施。料金所は全廃され、センサーで車と走行距離を認識し、自動的に登録口座などから料金を引き落とす仕組みに変わった。だから有人の料金所はちょっとレトロな風景なのだ。
左ハンドルの台湾から来て、日本の右ハンドルで大丈夫なのかと心配される方も多いが、これが意外と難しくない。前の車について30分も走ればじゅうぶん慣れる。
ただ、気をつけるべきは先行車のない交差点だ。うっかり対向車線に曲がり込んでしまいがちなので、わたしたちのファミリーでは「右大左小」(右折は大回り、左折は小回り)と唱えることにしている。ウィンカーとワイパーの位置も逆なので、あわててワイパーを動かしながらオロオロ曲がる車がいたら、この呪文に免じて許してほしい。

同じく難関なのが車両感覚。駐車の際、側面をこすったり後ろの支柱にぶつけたりという事故が多いのはそのせいだ。わたしも当初1日に2回もやってしまった経験がある。
そんな時は現場から動かず警察に通報して、レンタカー会社に報告するのが鉄則であることは言うまでもないが、日本のレンタカーでありがたいのは「自走できなくなったら無料で新しい車に交換可」という保険があることだ。
保険さえ掛ければ、「夜間の配車OK」「台風で搭乗便キャンセルならレンタルの延長可」など、旅行者の事情に配慮した細やかなサービスが日本のレンタカーの魅力でもある。アドバイスを求められたら、「とにかく一番良い保険に入れ」というのがわたしの決まり文句になっている。
(口述・彭國豪、翻訳と構成・渡邉ゆきこ)
(毎月第1・3火曜日掲載)