2021年も、新型コロナウイルスの感染拡大が猛威を振るった。観光産業は2年連続で夏場の稼ぎ時を失い、深刻な打撃を受けた。10月以降は感染状況が落ち着いたことで徐々に消費が活発化していたが、原油高に伴う電気やガソリン価格の高騰、世界的な供給網の混乱による原材料費の上昇などが経済回復にブレーキを掛け、直近ではオミクロン株の拡大が懸念されている。日本復帰50周年となる2022年を前に、沖縄経済の未来は不透明さを増している。苦境の続いた1年を振り返る。
オリオン社長交代 早瀬氏2年で突然退任
オリオンビール(豊見城市)の予期せぬ社長交代が波紋を広げた。
オリオンでは初めて外部出身者で社長に就いた早瀬京鋳(けいじゅ)氏が6月、「一身上の都合」を理由に2年限りで退任した。12月1日に、前シック・ジャパン社長の村野一氏が、後任の社長兼最高経営責任者(CEO)に就いた。早瀬氏の退任後、約5カ月間は社長職が空席のままというほど突然の退任劇だった。
オリオンビールは19年に、野村キャピタル・パートナーズと米投資会社カーライル・グループの株式公開買い付けを受け入れ、両社が設立したオーシャン・ホールディングスの完全子会社となった。買収したファンド勢は、外資系企業で経営経験がある早瀬氏を社長に招くことで、5年後とする株式上場に道筋を付けると見られていた。
新社長に就いた村野氏は「日本、世界が毎日でも飲みたいという素晴らしい商品を世に出したい」と述べ、海外販路開拓に意欲を見せた。
(呉俐君)
世界自然遺産に登録 沖縄・奄美 富裕層誘客に期待
世界的にも希少な亜熱帯の森が広がる沖縄本島北部、西表島や奄美大島、徳之島が7月、世界自然遺産に登録された。コロナ禍で窮地に立たされる県経済界にとって、観光復活への好機となった。
沖縄は2000年に「琉球王国のグスク及び関連遺産群」が世界文化遺産にも登録されている。一つの県に、文化と自然の二つの世界遺産を持っているのは国内では珍しいという。今後、国内客にとどまらず、欧米富裕層の誘客に大きく寄与すると期待される。
国内の世界遺産所在地では、登録後のブームが一過性で終わった例もある。持続可能な地域づくりに取り組んでいくことが課題となる。
(呉俐君)