【今帰仁】今帰仁村の自然洞窟から11世紀末~15世紀ごろのグスク時代のものとみられる人骨26体が見つかっていたことが5日までに分かった。全体的に大柄で、これまで県内で発見されたどの時代の人骨とも特徴が異なるという。三山のグスクを拠点に按司が各地を支配していた時代の墓や人骨はほとんど発見されておらず、今帰仁村教育委員会は「交易による人の移動や当時の人たちの人物像、埋葬方法などを解明する手がかりになる可能性がある」としている。
源為朝が上陸したという伝説のある、交易の拠点だった運天港から内陸に入った畑地のわきの自然洞窟で2014年に見つかった。
戦没者の遺骨として戦没者遺骨収集情報センターに送られたが、放射性炭素年代測定で最近の骨ではないことが判明。
その後、13世紀後半~14世紀前半の中国の青磁や白磁が完全形で副葬されているのが発見されたことから、グスク時代の人骨と推定されている。今帰仁村教委によると見つかったのは男性16体、女性9体、子ども1体の計26体。
男性の平均身長は161センチで、先史時代や近世の平均155センチより大きく、上半身、下半身ともがっちりしていた。さらに男性の人骨の約6割に当たる10体に、潜水作業などでできるとされる、耳の穴の骨壁にできる骨のこぶ(外耳道骨腫)も確認された。
村教委から鑑定を依頼された人類学者の土肥直美・元琉球大学准教授は「時代背景を考えると外からの(人の)流入は考えられるが、本土から来たという証拠は今のところない。遺伝子の分析を含めた今後の調査に期待したい」としている。
(松堂秀樹)