沖縄「緊急宣言」も視野 収束見通せず「急ブレーキの前にアラームを」


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 新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大を受け、県は「まん延防止等重点措置」の適用を政府に要請し、7日に正式決定する見通しとなった。重点措置は、知事が対策を強化する対象地域(市町村)を指定するが、玉城デニー知事は県内全域での適用に踏み切る方針を固めた。6日の感染者数が過去最多の981人に上るなど感染に歯止めが掛からない中、県幹部はさらに感染者数が増えることを見越し、より制限が強い「緊急事態宣言」も視野に入れているとする。

 「いきなり急ブレーキを踏む必要もあると思うが、まずは重点措置に指定され、備えをしっかり取ることが重要だ」

 重点措置要請を正式に発表した6日の記者会見で、緊急事態宣言ではない理由を問われた玉城知事は、こう強調した。

 県は5日の感染症対策経済団体会議で、重点措置の対象地域を沖縄本島と宮古島にする方針を説明していた。同日中に謝花喜一郎副知事が当初は対象地域外だった石垣市などと協議した上で、県全域で重点措置を適用する方針に転換した。

 県幹部によると、6日の感染症対策本部会議で緊急事態宣言への直接的な言及はなかったが、重点措置の適用範囲を宣言と同様の県全域とすることで、今後感染状況が悪化した場合も、緊急事態宣言へ切れ目なく移行できるとの見方がある。

 現段階では病床使用率の推移を見極める必要のほか、経済活動に強い制限をかけることによる影響や反発も念頭に、県首脳は「(宣言で)全てを止めてしまうと産業界全体への衝撃が大きく、業界も対応ができなくなる。県民にしっかりと“アラーム”を鳴らしていかないといけない」と語った。

 過去最多を一気に更新した感染の広がりは衰えが見えず、オミクロン株の感染力は「驚異的と言わざるを得ない」(玉城知事)と危機感は強い。別の幹部は「県の対策が『後手』だとの批判を受けるかもしれないが、現時点でより早く制限が掛けられる手だてを打っている」と強調し、重点措置で感染の抑制を図りつつ、「次の一手」を見据えた体制づくりを急ピッチで進めている。

(池田哲平、梅田正覚)