生理用品「どう配布すれば…」ニーズ把握の難しさも 「生理の貧困」施策で各自治体の課題


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 沖縄県内41市町村を対象に琉球新報が実施した「生理の貧困」に関するアンケートでは、経済的な理由などで生理用品の入手に困る住民らに対応するため、約半数の市町村が予算を計上、もしくは措置を予定していることが分かった。一方で生理用品の行き渡らせ方や、予算化の裏付けとなるニーズの把握を課題と感じている状況も浮かび上がった。

 各自治体の担当者からは「『生理の貧困』に関してのニーズは声を上げづらいと思う」「これまであまり公にされてこなかったデリケートな課題だと認識している」「生理用品の入手に困難を感じている女性・生徒を孤立させることなく、何らかの支援につなぐことが必要だと考える」といった意見があった。議会や住民からの訴えを受けて、困窮にどうにか応えようと予算化に踏み切ったことがうかがえる。

 ただ、こうした自治体でも課題がある。必要としている人へ思うように生理用品が行き届いていないことだ。「対面での受け渡しはハードルが高いのか、なかなか若い方の利用に結びつかない」(糸満)、「どうしたら困っている若者に確実に配布することができるのか」(沖縄)、「情報をうまく受け取れた人だけが利用している感じを受ける」(与那原)など、戸惑いの声が上がった。

 浦添市は「(配布で)一時的にしのぐことはできても表層的で、それ以上の支援へつなげることは困難だと感じる」とし「課題を整理し、今後の行政の役割を再検討する必要がある」と回答した。

 予備費から約290万円を支出して、学校のトイレなどへ生理用品を置く取り組みを始めている豊見城市は「トイレットペーパーと同様に(生理用品を)常備することが要望されている」と、ニーズを把握しているものの予算面の課題を挙げた。

 予算化などの予定が「ない」と答えた自治体からは「寄贈で賄えている」(南城)、「無償配布のニーズを把握していないことと必要性の検討も行っていない」(久米島)、「実態がよく分かっていないことを課題に感じる」(北大東)などの回答があった。

 (嶋岡すみれ)