脱炭素へ連携協定 沖縄に適した技術開発、沖電・拓南G


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脱炭素社会実現、循環型社会の形成を目指して連携協定を締結する沖縄電力の本永浩之社長(左)と拓南グループ「拓伸会」の古波津昇会長(右)=7日、那覇市の沖縄電力那覇支店

 沖縄電力と、拓南グループ8社で構成する拓伸会は7日、那覇市の沖電那覇支店で脱炭素社会の実現と循環型社会の形成を目指す連携協定を締結した。両者の知識や技術を活用し、太陽光発電(PV)パネルや電気自動車(EV)などの蓄電池を県内で循環させるリユース・リサイクル技術の開発や、PVパネルを設置する架台について沖縄の環境に適した構造の開発などを目指す。

 太陽光発電パネルは、2030年ごろから廃棄が増え始めると予想されている。パネルの分離に技術を要することから、現状ではリサイクルや処分のために県外へ輸送している。今後、県内で循環利用するための技術の開発やシステムを構築し、再エネの導入拡大を目指す。PVパネル調達コストの低減や不法投棄の防止などの効果も期待される。

 PVパネルを設置する架台は、特に海に近い地域では耐食性の塗装を施していても塩害の影響などで早く腐食するケースがあるという。今後、拓伸会の防さびなどの技術と沖電のノウハウなどを生かし、耐食性を高めた架台を開発することでPV設備の延命化や補修コストの低減を図る。

 拓伸会の工場などの屋根に太陽光発電設備を導入するなど再生可能エネルギーの導入拡大や省エネ設備、機器の導入を進める。拓伸会の社有車をEV化に切り替え、再エネ電力供給型EVステーションを設置することで二酸化炭素(CO2)の排出を減らす取り組みも進める。

 拓伸会の古波津昇会長は「大きなエネルギーを使用する事業者として、再エネの利活用や資源の再利用、再資源化を図り、さらに事業から発生する廃棄物を極限まで活用することでゼロエミッションを目指していく」と話した。沖電の本永浩之社長は「県内で脱炭素化を個社で実現するのは難しい。お互いの持っている知識や技術、ノウハウを持ち寄ることで実現に少しでも近づけたい」と話した。
 (沖田有吾、写真も)