西原さん、南日本文学賞 鹿児島移住時の思い詩に


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西原裕美さん

 2021年度南日本文学賞(南日本新聞社主催)の詩部門に、沖縄県浦添市出身の西原裕美(ゆみ)さん(本名・西俣裕美)(28)=鹿児島市=の作品「心待ち」(16編)が決まった。選考会が5日、鹿児島市内で開かれた。贈呈式は3月下旬、同市の南日本新聞会館で開かれる予定。新型コロナウイルスの状況で日程変更の可能性もある。

 同賞は、鹿児島県在住者や同県出身者が対象で「詩部門」と「小説・文芸・評論部門」の2部門がある。西原さんは2013年に山之口貘賞(琉球新報社主催)を受賞し、現在は琉球新報文化面「琉球詩壇」の編者も務めている。今回の受賞作は、昨年11月に沖縄から鹿児島へ引っ越した際に感じた思いなどを中心に表現した。

 選考委員は芥川賞作家の又吉栄喜氏と町田康氏、詩人の三角みづ紀氏。選考会は来場者に公開される形式で行われた。西原さんの詩は「魂を鼓舞し、読者を一歩前に進める力がある」「人間存在や認知の不確かさを確実に表現している」などと評価された。

 会場で選考会の模様を見守った西原さんは「厳しいことも含めて指摘がある中、緊張した。気恥ずかしいが、うれしい」と受賞を受け止めた。今後へ「詩集を作れたらと思う」と新たな詩集の刊行へ意欲を見せた。(古堅一樹)