辺野古の軟弱地盤調査「適切」 国依頼の専門家が鑑定 防衛省の設計変更


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新基地建設工事現場=2021年8月、名護市辺野古(小型無人機で撮影)

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡る防衛省の設計変更に関し、日下部治東京工業大名誉教授は10日までに国の依頼を受け、地盤の安定性を確かめるために防衛省がとった方法は適切だとする鑑定書をまとめた。軟弱地盤が最も深い地点に達する「B27地点」では土を採取せず、他の地点の調査から土質を類推していることを県は問題視しているが、鑑定書は問題ないとした。

 鑑定書は、設計変更を県が認めなかったことに関し、防衛省の依頼を受け、国土交通省が審査の一環で依頼した。鑑定書に関し、県は10日、B27地点で実際に土を採取して調査するべきだとした県の判断について、妥当かどうかを鑑定するよう国交省に求めた。設計変更の不承認は適切だと主張する意見書も送った。

 鑑定書は、防衛省が専門家を集めて開催した技術検討会を踏まえ、「これ以上お金と時間をかけて調査したとしても、新しく得られる情報はすごく少ない」とした委員の発言を引用している。追加で調査しないことを正当化した形となった。国交省は2019年、県の埋め立て承認撤回を取り消した際も、同じ日下部氏に鑑定書の執筆を依頼し、取り消しの根拠にした。
 (明真南斗)