家族の世話「週3超」のヤングケアラー85人 欠席、遅刻も多く 悩み相談した経験「ない」が84% 糸満市調査


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 【糸満】大人が担うような家事や家族の世話をするヤングケアラーについて、糸満市教育委員会と沖縄大の名城健二教授が県内で初めて児童生徒を対象に実施した調査の結果が31日、発表された。それによると、3160人中、7人に1人にあたる434人が「家族に世話をしている人がいる」と答えた。市内中学生の13.0%に相当する。調査規模や母数が異なるため単純比較はできないが、全国を7.3ポイント上回った。世話の頻度がほぼ毎日または週3~5日で2時間以上に及ぶ「より過度なヤングケアラー状態の児童生徒」は85人(2.68%)だった。

 「より過度なヤングケアラー」とされる85人については、学校を「たまに欠席する」「よく欠席する」との回答が45・8%に上った。遅刻や早退も「たまにする」「よくする」が30・5%と高かった。

 家族の世話をしている場合、学校を「たまに欠席する」「よく欠席する」「相談相手がいない」などの傾向があった。名城教授は「幼い兄弟の世話をするために学校を休まざるを得ない状況があるのではないか」と分析する。

 世話を必要としている家族のことや悩みを相談したことが「ない」は84・0%を占めた。主な理由は「誰かに相談するほどの悩みでもない」(78・8%)で、名城教授は諦めや周囲が察知できていない可能性を指摘した。

 調査対象の7割は共働きの両親と生活し、世話の対象はきょうだいが多かった。「世話」は家庭内の手伝いである可能性があり、今後詳細な実態把握が必要だという。

 調査は昨年11月、市内小5~中3を対象に実施し、3160人から回答を得た。調査前にヤングケアラーとは何か、イラストを用いて教諭らが説明した。市は今後、ヤングケアラーの認知度向上や児童生徒が相談しやすい環境づくりなどに取り組む。

(比嘉璃子)