陸自の急患輸送、累計1万件に 1972年の復帰以後、沖縄の離島や奄美など


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CH47JA大型輸送ヘリから救急車に患者を移送する自衛隊員ら=6日、自衛隊那覇基地

 陸上自衛隊第15旅団(那覇市)が実施している離島などからの緊急患者空輸の件数が6日、1万件目となった。1972年の沖縄の日本復帰以降の累計。15旅団は沖縄県と奄美大島以南の鹿児島県で緊急患者空輸を両県知事の災害派遣要請に基づいて実施する。

 陸自は沖縄が日本に復帰した1972年に米軍から患者空輸を引き継ぎ、これまで沖縄県で8155件、鹿児島県で1845件実施した。沖縄県によると、県のドクターヘリで対応できない場合や夜間・悪天候時に自衛隊が対応している。

 この日、陸自は那覇基地から南大東島の間をCH47JA大型輸送ヘリで移動し、南大東村から足の骨を折った80代女性を輸送し、那覇市消防局の救急車に引き渡した。

 同型機の運用を担当する第2飛行隊長の中村恭幸3等陸佐は空輸任務の終了後「離島の医療体制がぜい弱な地域で、自治体やドクターヘリを自衛隊が補完することで県民の安心・安全につながると思う」と記者団の取材に述べた。

 玉城デニー沖縄県知事も6日、コメントを発表し「緊急患者の迅速な搬送のためには陸自の協力が必須で、任務に対する真摯(しんし)な姿勢と献身的なご苦労に対して深く敬意を表し感謝する」とした。

(塚崎昇平)