那覇港をアジアの成長拠点へ 管理組合が長期構想 軍港やキンザー跡地利用盛り込まれず


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那覇港(資料写真)

 那覇港管理組合は20~30年後の那覇港の将来構想やビジョンを示す「那覇港長期構想」をまとめ、28日に概要を公表した。基本理念に「世界と沖縄・日本全国の人・物・文化をつなぐ『みなと』」を掲げた。将来は、那覇港の強みや特性であるアジアにおける地理的優位性や、近隣する那覇空港との連携、沖縄のリゾート地としての魅力を生かし、アジアの成長に貢献する拠点港としての発展を目指す。

 那覇港を取り巻く環境や社会情勢は日々変化しており、近年の船舶大型化や貨物量増加に対する岸壁不足やふ頭の狭あい化、施設の老朽化、物流戦略見直しの必要性など、課題は山積している。長期構想では目指す将来像を「物流・産業」「交流・にぎわい」「安心・安全」「持続可能な開発」の4本柱に分け、これらの実現に向けて取り組むべき基本戦略7項目を示した。

 港湾空間利用計画(ゾーニング)案では、物流機能の中心は引き続き新港ふ頭と浦添ふ頭に置き、両ふ頭の一体的利用を促進する。物流機能のうち燃料などの危険物を扱うゾーンは新港ふ頭北側に配置。離島航路の拠点は泊ふ頭とし、那覇ふ頭は貨客船ゾーンとする。クルーズ船の受け入れに対応する国際交流ゾーンは、泊ふ頭、新港ふ頭、浦添ふ頭で展開し、浦添ふ頭には親水レクリエーションゾーンを南北に長く配置する。

 那覇軍港や牧港補給地区(キャンプ・キンザー)の跡地利用計画は盛り込まれなかった。今回策定した長期構想に基づき、今後10~15年間の港湾の開発と利用、保全の指針となる港湾計画の改訂を行う。
 (当銘千絵)