復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉5月12日「通貨切り替え、308円下回る」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。  

 1972年5月12日の琉球新報1面のトップは、「〝侵略行為の新たな拡大〟/ソ連政府、米を非難/ニクソン訪ソにふれず」との見出しで、米政府のベトナム全港湾機雷封鎖に対してソ連が発表した政府声明を紹介している。関連してベトナムの南北の表情を紹介する記事も掲載している。「すべての自由制限/『南』政府スポークスマン」の見出しの記事は南ベトナム政府の戒厳令で新たな規制措置を伝えている。さらに「北」からは「機雷を一掃し米艦を撃沈」と、ベトナム人民軍機関紙が伝える北ベトナム軍民の決意を紹介している。さらにベトナムの解放勢力がサイゴン北方への攻撃再開を伝える記事では「アンロク陥落の可能性大/解放勢力、北部でも攻勢強化」との見出しを掲載している。

 復帰に伴う通貨切り替えに関連して「三〇八円下回る/通貨切り替え/大蔵省が示唆」との見出しで伝えている。記事では「復帰の日から六日間にわたって行われるドル切り替え時の為替レートがどうなるか注目されている」との書き出しで、大蔵省の見解として「復帰以前の為替レートを勘案して決まるが、いずれにしても実勢レートから遊離することはできない」との言葉を紹介している。

 復帰の日に行われる本土政府主催の沖縄復帰記念式典の開催方法に関する記事で「テレビ中継で演出/復帰式典式次決まる/天皇のおことばも流す」と報じている。

 

 

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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。