モノクロ写真で思い巡らせ 伊良波中2生「米統治時代」学ぶ


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4・28について考える授業をする内山直美教頭(左奥)=4月26日、豊見城市の伊良波中学校

 【豊見城】沖縄が日本の施政権から切り離された1952年4月28日のサンフランシスコ講和条約発効から、4月28日で70年がたった。豊見城市立伊良波中学校(伊井秀治校長)は4月26日、節目の日を前に「4・28から考える平和」をテーマに授業を開いた。内山直美教頭が2年生約300人に、資料や写真を提示し、授業を展開した。生徒は当時の住民の思いや怒りについて考えた。

 授業は2年7組は対面で実施し、密を避けるため他の8クラスはオンラインで受けた。内山教頭は4・28について、沖縄では「屈辱の日」と呼ばれる一方、日本本土では「主権回復の日」と呼ばれていることを説明した。米統治下で当時の沖縄の人々に思いを巡らすため、写真を見て考える「フォトランゲージ」を実施した。

 生徒は土地を守るために琉球政府前で座り込む伊江島の女性や、米軍の土地接収に抗議するため「金は一年、土地は万年」と記したのぼりを掲げた宜野湾市伊佐浜の住民などの写真を見た。生徒からは「支配された沖縄」「女性がひざまずいている」「表情が暗い」などの意見が上がり、「銃剣とブルドーザー」と言われた土地接収にあらがった土地闘争を通して当時を学んだ。

 クラスメートと活発に意見を交わした宜野座優月(ゆつき)さん(13)は「4・28について初めて知った。当時の人たちは悔しいだろうなと思った。もっと『屈辱の日』について調べたいと思った」と感想を述べた。

 伊良波中は5・15の「復帰」や6・23の「慰霊の日」についての授業も開き、それぞれの節目の日から平和について考える。
 (照屋大哲)