沖縄都市モノレールが2年連続で赤字 コロナ禍、乗客回復せず 22年3月期決算


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 沖縄都市モノレール(ゆいレール、渡慶次道俊社長)は24日、2022年3月期決算を発表した。経常損失は11億7758万円、純損失は11億7291万円と、それぞれ前期よりはマイナス幅が縮小したものの2年連続で赤字を計上した。

 売上高に当たる営業収益は、行動制限が緩和された時期に乗客数が若干回復し前期比7.2%増の24億9597万円となった。2期ぶりに増収となったが、新型コロナウイルス感染症流行前の20年3月期比では41.4%減となっており、コロナ禍が業績に甚大な被害を与えている。債務超過額は前期の2800万円から12億円超に拡大した。

 営業収益のうち、旅客運輸収入は前期比6.7%増の23億3500万円だった。

 21年度の1日あたりの平均乗客数は前年度比7.4%増の3万2263人となり、ワーストだった前年度の3万44人に次ぐ低水準だった。

 経費に当たる営業費は前期比3500万円増の36億4600万円だが、営業外費用が同6680万円減となったため、経常損失は前期比で1億9800万円改善した。純損失は駅構内で県内の特産品を販売した「ゆいレールマルシェ」開催に伴う補助金など特別利益が計上され、2億700万円改善している。

 今後の経営安定化への取り組みとして、ゆいレールマルシェなど駅舎や車両の有効活用や、2023年度に運行開始予定の車両の3両化による運輸収入の増加などを挙げている。

 23年度の1日あたり平均乗客数は4万人を見込む。4月実績では3万9824人と目標に届かないものの、緊急事態宣言が発令された20年(2万320人)との比較では2倍近く増加している。

 同社は、池田竹州副知事を取締役に、琉球銀行頭取で県銀行協会会長に就任予定の川上康氏を監査役に新任する役員人事案も合わせて発表した。6月開催の株主総会などを経て正式に決定する。
 (小波津智也)