「被害者の苦しみ忘れず反省を」強制性交等致傷罪判決、米兵に裁判長らが伝えたこと


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那覇地裁

 「被害者に大きな苦しみを与え、人生を変えてしまったことを忘れず、反省を深めてください」。強制性交等致傷の罪に問われた在沖米海兵隊上等兵(22)に26日、懲役4年6月の判決を言い渡した後、佐藤哲郎裁判長はこう語りかけた。起訴内容を認めつつ、犯行時の性的目的を否定するような供述をする場面もあった被告。判決後、裁判員を務めた女性らからは更生を望む声が上がった。

 犯行時は身長182センチ、体重99キロだったという被告はこの日、黒いズボンと、初公判と同じ黒いポロシャツ姿で入廷。落ち着いた様子で判決に臨んだ。

 検察側は公判で、被告が犯行を諦めた理由を、被害者が必死に抵抗する中、偶然通ったパトカーのサイレン音が聞こえたためだとし「偶然の事情がなければ既遂に至った可能性が高い」と主張。被告は「被害者に手をかまれ、われに返った」と否定していた。

 判決では「犯行の中止がいずれの理由であっても、被告に有利な事情として考慮することは困難だ」と指摘。一方で、性的暴行に及んでいないことや、反省していることなどが考慮された。

 閉廷後は裁判員と補充裁判員を務めた2人が記者会見に応じた。裁判員を務めた女性(68)は、被害女性の立場を考えると絶対に許せない犯行だとしつつ「裁判官と審議する中で、不思議と被告の人生まで考えが及ぶようになった。悔い改めて良い人生を歩んでほしい」と述べた。補充裁判員経験者からは「公判で被告の反省の姿勢が見受けられた」との声が上がった。