沖縄報道、課題を議論 JCJ沖縄、復帰50年でシンポ


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今後の沖縄報道の課題などで討議した(右から)三上智恵さん、内原早紀子さん、宮城修さん、森田美奈子さん=沖縄タイムス2階ギャラリー

 日本ジャーナリスト会議沖縄(JCJ沖縄)は28日、オンラインシンポジウム「復帰50年 沖縄報道を振り返る~ジャーナリズムは何をしてきたのか」を開催した。日本復帰から50年たっても変わらない米軍基地問題や中国脅威論を背景にした自衛隊増強をどう報じるのか、戦後史を若い世代にどう伝えるのかなどを議論し、本土、県内それぞれのメディアの課題も提起された。

 森田美奈子沖縄タイムス論説委員長は「戦後史の不在が浮かび上がった。戦後史、米統治時代の歴史が風化しつつある」と指摘。ジャーナリズムの役割として「二度と戦争を起こさないよう警鐘を鳴らしていきたい」と述べた。

 宮城修琉球新報論説委員長は、沖縄の施政権が切り離されたサンフランシスコ講和条約発効70年の4月28日から5月16日にかけてシリーズで掲載した社説を紹介。「重要な時に県民は決定に加われなかった」と指摘し「沖縄の未来は沖縄の人たちに決めさせるべきだと主張した」と述べた。

 復帰当時を知らない世代のNHK沖縄キャスター、内原早紀子さんは、出身地石垣島の戦後のマラリア撲滅の取り組みを調べた経験に触れ、自身に戦後史に対する「当事者意識が生まれた」と語り、「今生きている世代が当事者意識を持つような報道をしていかなければならない」と課題を挙げた。

 ジャーナリストで映画監督の三上智恵さんは「1972年に積み残された課題を一つ一つ解決していく気持ちで報道してきたが、再び戦争前夜になってしまった。沖縄報道の敗北だ」と訴えた。

 オンラインで山田健太専修大教授、砂川浩慶立教大教授らも発言した。松元剛琉球新報編集局長がコーディネーターを務めた。全国からピーク時で182人が視聴した。