県印刷産業協議会(平山達也理事長)は30日、用紙や関連資材などの相次ぐ値上がりによる経営圧迫を訴え、印刷物の適正価格での発注に理解を求める会見を県庁記者クラブで開いた。同協議会を構成する県印刷工業組合は昨年12月にも印刷資材の価格高騰を訴える会見を開いたばかりだが、その後も円安による輸入価格の上昇やウクライナ情勢など安定化に向けた材料に乏しく、さらなる窮状を訴える形となった。
今年1月以前と比較し、印刷用紙は15%以上値上げしている。インクも昨年10月に5~15%値上げしたほか、6月には再値上げを発表する。ゴムロール関係や溶剤関係、その他の資材も同様に値上げしている。
県内の印刷業者の多くが経営規模の小さい中小企業となっており、協議会によると、原材料の高騰が続くものの顧客に価格改定を提案できず、人件費など固定費の支払い負担が増して経営が逼迫(ひっぱく)している。業界として会見を開くことで、コスト上昇分の価格転嫁に取引先や消費者の理解を求めていく。
平山理事長は「コロナ禍で印刷界の状況も変わり、値上げは今後もあるかもしれないが、コストに見合ったものを提供していくつもりだ」と語った。
印刷に欠かせないアルミ製の刷版は21年7月から3度の値上げがあり、約30%増となっている。アルミメーカーによると、今年3月時点の原材料価格は2020年7月と比較して2倍超上昇している。
飲料缶のほか、近年は電気自動車の軽量化に伴って従来の鉄からアルミの使用が増え、需要と供給のバランスが保たれなくなったという。
対米ドルで円安が続いていることも値上げの原因となるほか、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢の影響も大きく受けており、先行きは不透明だ。
県印刷産業協議会の平山理事長は「(印刷業は)県内消費にも大きく貢献できる。この難局を乗り越えるためにもぜひ理解をいただきたい」と呼び掛けた。
(與那覇智早)