沖縄県子どもの貧困調査、困窮世帯の割合が初の悪化 小5で1.8ポイント増、中2で3.3ポイント増


この記事を書いた人 Avatar photo 仲井間 郁江

 沖縄県は31日、県内の子どもや保護者の生活実態を調査し、貧困対策の施策に生かす「2021年度子ども調査」の報告書を公表した。小学5年と中学2年の親子を対象に分析した結果、最も所得が低い層の割合は小学5年では1・8ポイント増の28・5%、中学2年では3・3ポイント増で過去最多の29・2%になるなど、初めて悪化した。新型コロナウイルスの感染拡大が家計に深刻な影響を与えており、低所得層ほど収入の落ち込み幅が大きいことも明らかになった。

 調査では、世帯の経済状況を分析するため、世帯の手取り収入を世帯人数の平方根で割った等価可処分所得を算出し、困窮程度を低所得層Ⅰ(127万円未満)、低所得層Ⅱ(127~190・5万円未満)、一般層(190・5万以上)と分類した。

 その結果、小学5年では低所得層Ⅰが28・5%、低所得層Ⅱが27・0%、一般層が44・5%、中学2年では同Ⅰが29・2%、同Ⅱ24・9%、一般層が45・9%だった。ひとり親の場合は、低所得層Ⅰの割合が小学5年は68・9%、中学2年は66・4%となっており、ふたり親の2倍以上となっている。

 世帯収入をコロナ禍以前の20年2月と比べた質問では、収入が「減った」「全く無くなった」を合わせると、一般層でも3割近くいたが、低所得層Ⅱは約5割で、低所得層Ⅰでは約6割と、経済的に厳しい世帯ほど苦境に立たされている現状が浮き彫りとなった。

 調査表は市町村の人口比を基に教育機関を通して配布された。小学5年生に対しては3331世帯の親子に配布し、有効回答数は子どもが2387(回答率71・7%)、保護者が2386(同71・6%)だった。中学2年は3317世帯に配布し、有効回答数は生徒2494(同75・2%)、保護者2496(同75・3%)だった。

(嘉陽拓也)