バナナの茎やパインの葉からエコな繊維 抽出新技術を開発 使用後は土に返る「循環型」も期待 大宜味村のフードリボン<沖縄からSDGs>


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 仲井間 郁江
パイナップルの葉から抽出した繊維(フードリボン提供)

 【大宜味・東】食品関連開発・販売のフードリボン(大宜味村、宇田悦子社長)は、これまで廃棄されていたバナナの茎やパイナップルの葉から、高品質の天然繊維を効率良く取り出す技術を開発した。

 東村で5月から、バナナの茎からの繊維抽出に取り掛かっている。廃棄物を有効活用した衣料品の市場展開と、製品使用後は炭にして土壌に返す循環型システムの構築を目指す。

実の収穫後、茎の9割以上が廃棄されてきたバナナの木=5月、県内(フードリボン提供)

 同社は農産物収穫後の廃棄物の有効活用によって、土壌・海洋汚染といった社会問題の解決を追求する。これまでシークヮーサーの果皮を使った精油や、パイナップルの葉の成分を練り込んだストローなどを製造。ストローは県内のホテルや飲食店など100社以上に採用され、200万本以上を販売している。
 

 開発した繊維抽出技術は特許出願中。同技術を活用し、これまで9割以上が廃棄されていたバナナの茎やパイナップルの葉から繊維を抽出し、アパレル企業に販売する。

 

 東村や大宜味村の農家から、初回は果実収穫後のバナナの茎約1トンを回収し、繊維20~30キロを抽出する。6月に収穫期を迎えたパイナップルは、両村などの農家から約30トンの葉を回収し繊維約450キロを抽出予定だ。

 

 抽出した繊維と綿を混合し生地が製造されるが、Tシャツ1枚に多くて100グラムの繊維が必要になる。同繊維で作られた衣料品は「生産者の顔が見える繊維」として販売展開する計画で、県内外のアパレル企業から問い合わせがあるという。

バナナの茎(右)から抽出した繊維 (フードリボン提供)

 今後、農家の所得が低い東南アジアでの展開も視野に入れている。長谷場咲可・繊維事業統括マネージャーは「SDGs意識の高まりに伴い、企業は原材料がどこでどんな工程で生産されたかに注目している。今後は原料の茎や葉を農家から買い取り、生産者の所得向上にもつなげたい」と話した。

(岩切美穂)

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