<参院選沖縄選挙区2022政策点検>①基地問題 伊波氏・辺野古、技術的に不可能 古謝氏・普天間の危険除去を優先


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部=2022年3月17日午後0時14分、航空機より撮影

 7月10日投開票の参院選が22日に公示され、本格的な選挙戦が展開されている。名護市辺野古の新基地建設計画などの基地問題や安全保障政策、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けた経済再建策や沖縄振興策、子育てや人材育成施策など多岐にわたる論点で政策論争が繰り広げられる。無所属現職の伊波洋一氏(70)と自民新人の古謝玄太氏(38)=公明推薦=の主要2氏の公約や訴え、政策アンケートから両氏の主張を確認し、比較する。 (’22参院選取材班)

 主要争点の一つとなる米軍普天間飛行場移設に伴う辺野古新基地建設計画を巡っては、伊波氏は「反対」、古謝氏は「容認」と両氏の立場は明確に異なる。

 伊波氏は辺野古新基地建設について「県民にこれ以上の過重な基地負担を押しつけるべきではない」と訴える。投票者の7割超が辺野古埋め立てに反対した2019年の県民投票の結果を重視するほか、埋め立て予定地の軟弱地盤の改良工事について「深さ90メートルまで軟弱地盤だ。改良は70メートルまでしかできない」と技術的に建設は不可能だと主張する。

 古謝氏は普天間飛行場の県外・国外移設が望ましいとしながらも、政府による辺野古の埋め立て工事が実際に進んでいるとして「普天間飛行場の危険性の除去のため、辺野古移設が最も早い現実的な解決策だ」と容認の理由を説明する。軟弱地盤の改良についても「日本の高い技術力では十分に工事は可能だと聞いている」として問題はないとの認識を示す。

 県議会でも党派を超えて政府に改定を求め続けている日米地位協定については、両氏とも「抜本的改定」を求めるとの主張で一致する。

 伊波氏は起訴前の身柄引き渡しや検疫・出入国管理への国内法適用、環境汚染に対する自治体の基地内立ち入り調査権限の付与などを、改定により実現すべきだと訴える。

 古謝氏は改定に向けて、日米合同委員会に米軍基地所在地域の代表が参加する枠組みの構築を目指し、その場で具体的な改定内容を議論すべきだとの考えを示している。

 南西諸島では自衛隊の配備・機能強化が進むが、この動きへの両氏の見解には大きな違いがある。

 伊波氏は「住民合意のないミサイル配備に反対」と訴える。島しょ地域からの住民避難の困難性を挙げて「攻撃が正当化される軍事目標の島しょへの設置自体を回避すべきだ」とする。

 古謝氏は賛成の立場を示す。日本周辺の安全保障環境が緊迫化しているとの認識を示し「対話は継続しつつ、自衛隊配備による抑止力をしっかりと機能させるべき」と主張する。

各候補の政策全文はこちらからhttps://sangiin-okinawa2022.glideapp.io/
 

【参院選もっと知る】

▼半世紀のデータで振り返る!沖縄の保守VS革新「負けなし」地盤は?

▼参議院の仕組みは?当確ってどういう意味?

▼今さら聞けない参院選投票の仕方

▼参院選沖縄選挙区の情勢は?ニュースをまとめて読む