学校での脱マスク、なぜ浸透しない?「地域の目」や「抵抗感」も 熱中症予防や不要な場面を指導


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真夏の炎天下、ランドセルを背負って登校する児童ら=5日午前7時40分ごろ、那覇市(大城直也撮影)

 学校でのマスク着用を巡り、県教育委員会は小中高校の体育の授業や登下校中はマスクを外すよう指導することを求めているが、児童生徒に浸透していない現状がある。学校関係者は、マスクが不要な場面が社会で十分認知されず、子どもたちがマスクを外しづらい環境だと指摘する。

 全国各地で熱中症による救急搬送が確認されたことを受け、文部科学省は6月10日の事務連絡で、児童生徒へ適切に指導するよう求めた。マスクを着ける必要のない場面は主に、体育の授業や運動部活動、登下校の際だ。登下校時に公共交通機関を利用する場合は、着用が必要としている。

 事務連絡を踏まえ、県教委は6月13日付で各市町村の教育委員会や県立学校、教育事務所に通知した。しかし、要請内容が浸透していないという。

 本島内の小学校教諭は「体育や下校の際はマスクを外していいと指導するが、強制できない」と話した。一方、他の場面では「十分な距離が確保できるか確認する余裕がないのが実情だ」と明かした。

 那覇市内の小学4年の女子児童(9)は「(登下校でも)マスクを着けるように先生に言われている」という。途中で会った友だちと会話をして感染する可能性を指摘されたといい「どうしても暑かったら、たくさんお水を飲んでと言っていた」と話した。

 本島南部にある小学校の校長は、児童生徒に向けられる“地域の目”も指摘する。「マスクを外して歩く児童を見かけた人から、学校に連絡が来ることがあった。マスク不要な場面を大人が知らないことも多く、そのような中では子どもたちも外しづらい。社会の理解が進まないと浸透は難しい」と語った。

 生徒自身、外したくない思いもある。高3の女子生徒(17)は、学校で指導はあったものの抵抗感を示し「マスクを取った顔と周囲が想像していた顔の印象が違い、“マスク詐欺”と思われないか心配。体育の授業も暑いが我慢している」と語った。
 (吉田早希)