県内政界の調整役として存在感を発揮し、名護市辺野古の新基地建設阻止を旗印に革新から一部保守までウイングを広げた「オール沖縄」誕生の立役者ともなった新里米吉氏の突然の訃報に、保革問わず県内政界に惜しむ声が広がった。
新里氏が常任顧問を務めていた社民党県連代表の照屋大河県議は「あまりに突然のことで驚いている。知事選に向けて一緒に取り組んでいただけに悔しくて仕方ない」と声を落とした。
2014年の知事選で保守系の故翁長雄志氏擁立に向けて反発もあった革新側をまとめ上げ、その後もオール沖縄を支えてきた新里氏の功績を振り返りながら「辺野古新基地は造らせてはいけないという遺志を受け止め、立ち止まることなくしっかりと闘いを進めたい」と力を込めた。
沖縄工業高校在学中に新里氏が教員として赴任してきた縁もあり、保革を超えて親しくしてきた元自民党県議の新垣哲司氏(73)は「派手なパフォーマンスはせず、物事はみんなで解決するものだという思いで政治をしていた。心優しく相手の立場もよく理解してくれた。とても尊敬できる先生だったので残念だ」としのんだ。
辺野古埋め立ての賛否を巡る県民投票の全県実施に向け、新里氏と調整を重ねた公明党県本代表の金城勉県議は「立場は違うが柔軟な考え方をする人だった。議会の厳しい局面で力を発揮し、県民投票に限らず新里氏がいなければまとまらなかった案件も多い。惜しい人材をなくして残念だ」と悼んだ。
県議会は9日の臨時会で黙とうをささげる。 (大嶺雅俊)