復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉8月11日「常駐化、断じて許さぬ/B52飛来抗議県民大会」―琉球新報アーカイブから―


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 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年8月11日の琉球新報1面トップは、「常駐化、断じて許さぬ/B52飛来抗議県民大会開く/基地に向けデモ/自衛隊配備にも抗議」との見出しで、 米戦略爆撃機B52の米軍嘉手納基地への飛来をめぐって嘉手納への飛来が常態化させないようにと開かれた抗議大会を伝えている。日米両政府宛ての大会スローガンでは「B52飛来と米のベトナム侵略戦争に抗議する決議」と「自衛隊の沖縄配備に反対する決議」「米軍、自衛隊の軍事演習に抗議する決議」「B52飛来に抗議し、常駐化反対、KC135などを撤去させ、爆音被害から市民生活を守る」「四次防と自衛隊の沖縄配備に断固反対、沖縄海空域の軍事訓練基地化を阻止」「米のベトナム侵略戦争反対、いっさいの軍事基地撤去、安保条約を廃棄」と掲げた。

 復帰に伴い日本国の売春防止法も適用されたことに関連して「売春防止で各省協力/政府答弁/〝前借金無効〟徹底させる」との見出しで、参院社会労働委員会で沖縄の売春問題が取り上げられたことを伝えている。取り上げた社会党の田中寿美子参院議員は「前借金無効の問題、売春取り締まり、不幸な婦人たちの更生保護の問題など7点について政府が本格的な措置を講じるよう求めた」という。

 沖縄配備の自衛隊について「航空混成団編成へ/防衛庁・施設庁、個人住宅の防音補助も」との見出しで、防衛庁・施設庁の1972年度の重点施策として沖縄関連施策も盛り込んだとの記事を紹介している。記事では、①沖縄での自衛隊病院設置の調査②沖縄に南西航空混成団の編成とファントム戦闘機部隊とホーク部隊などの新編③基地周辺整備事業で個人住宅の防音工事の補助事業を新規に実施―を施策に盛り込んだことを紹介している。

 沖縄への製造業参入について「アルミ誘致、再検討/屋良知事答弁/海洋博など/自衛隊利用避けたい」との見出しで、県議会での屋良朝苗知事の答弁内容を伝えている。アルミ産業の誘致について屋良知事は「公害が心配で、近く学者、技術者を中心にした調査団を本土に送り、その上に立って検討する」と答えたという。

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。