2300枚の写真が語る豊見城の戦前戦後 市教委がデジタル化、23の字ごとに写真集 沖縄


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「とみぐすく写真アーカイブ」の編集を担当した文化課の(左から)久貝祐子さん、長井沙也加さん、島袋幸司さん、石田卓也さん=15日、豊見城市歴史民俗資料展示室

 【豊見城】豊見城市教育委員会文化課はこのほど、市内の23字ごとの写真集「とみぐすく写真アーカイブ」を発刊した。各自治会や住民などと協力して写真を収集し、デジタル化した。地域の行事や風景、当時の人々の表情などを切り取った写真が掲載されている。1冊にまとめず、字ごとに写真集を発行するのは県内初という。古くは1900年代初頭から戦前、戦後にかけて、各地域の歴史や記憶を記録として残し、次世代に継承する。

 文化課は2020年から収集を開始。住民が持ち寄った写真のみならず、県公文書館や文化課に所蔵されている物も加えた。市内全24字のうち、戦前から集落が続く23字からさまざまな写真が集まった。1990年代後半から埋め立て工事が始まった豊崎地区の収集は今後検討する。

青年会の活動資金造成のためにサトウキビの収穫に参加した住民=1960年ごろ(豊見城市教育委員会提供)

 集まった写真にはサトウキビ収穫作業で笑顔を見せる男性や夏祭りでほほ笑む女性、地域の綱引きに参加する子どもたちなど、市井の人々のさまざまな横顔が写っている。髪型や服装、建造物や道路などの設備からも当時の雰囲気が感じられる。

 23冊に少なくとも2300枚の写真が収録されている。古いものは、大正から昭和初期にかけて撮られたとみられる嘉数の棒術や、1938~39年ごろ饒波であったムラ芝居演目、39年の保栄茂の豊年祭などが並ぶ。

「シェー」のポーズを取る子どもたち=1960年代半ば以降、現豊見城市伊良波(豊見城市教育委員会提供)

 各字とも合同生年祝いや敬老会などの集合写真が多い。当時の時代背景も相まって男性のみが写ったものが多かった。文化課主査の島袋幸司さんは「写真集が男性だけにならないよう、ジェンダーバランスにも配慮して選定、掲載した」と編集作業での工夫を語った。

 とみぐすく写真アーカイブはA4判、カラーとモノクロで全字100ページ。一般販売はしておらず、市立中央図書館と県立図書館で貸し出ししている。
 (照屋大哲)