製炭炉 生地を炭化 化石燃料使わず資材に バガスアップサイクル


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
製炭炉で処理され炭化した生地の端切れ=19日、糸満市豊原

 かりゆしウエアのシェアリングサービスなどを展開する「BAGASSE UPCYCLE(バガスアップサイクル)」(那覇市、小渡晋治CEO)はこのほど、糸満市内に化石燃料を使わない製炭炉を導入した。生地の端切れなどを炭化させ、土壌改良材などに活用する。工程で化石燃料を使わないことから二酸化炭素(CO2)の発生抑制にも効果的で、同社は商品開発を進めながら2023年の本格稼働に向けて県内企業と連携し、炭化による循環型経済の構築を目指す。

 バガスアップサイクルでは製糖工場から発生したサトウキビの搾りかす(バガス)を活用した生地でかりゆしウエアを縫製する。製造時に発生する端切れなど廃棄物を炭化させ、キビ栽培の資材に還元している。

 これまで炭化は県外で処理していたが、循環型経済の推進へ製炭炉を7月末に導入した。導入に約1千万円を投資し、経済産業省のものづくり補助金も活用した。炉を製作する紋珠・高槻バイオチャーエネルギー研究所(大阪府、島田勇巳所長)によると、約3立方メートルの廃棄物を4~6時間かけて炭化させる。

 炭化させる廃棄物はバガスアップサイクルに加え、ホテルを運営する沖縄UDS(那覇市)がコーヒー抽出後の搾りかす、ゆがふ製糖(うるま市)がバガス、オキナワパウダーフーズ(糸満市)が食品加工の残りかすをそれぞれ提供する。

 今後は他の企業にも呼び掛けて廃棄物を提供してもらうことで製炭が安定供給できるようにし、炭を活用した化粧品や燃料などの開発にもつなげたい考えだ。

 小渡CEOは「炭化は多方面での活用が期待できる。持続可能なアップサイクルが可能となる取り組みで、多くの人に知ってもらい、製炭炉の稼働率を上げていきたい」と意欲を語った。問い合わせは小渡CEO(電話)090(8838)2966。

 (小波津智也)