軽便の転車台か 遺構出土 那覇・ターミナル跡


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 市街地再開発事業が進められている那覇市旭町の那覇バスターミナル地区で10月初旬、戦前の県営鉄道(軽便鉄道)那覇駅に設置されていた車両の方向を変える転車台(ターンテーブル)とみられる遺構が出土していたことが、20日までに分かった。同地区では新施設建設が始まっているが、遺構周辺では現在、工事を中断している。市や再開発事業を担う旭橋都市再開発などは今後の調査を踏まえ、取り扱いについて方向性を決める考えだ。

 市文化財課によると、ことし5~6月に敷地内の複数箇所で試掘した際には何も発見されなかったが、10月に入って工事が進む中、現在のモノレール旭橋駅付近で、バス停や歩道が敷設されていた場所から遺構が出土した。遺構は直径10メートル弱の円形でレールや枕木は残っていなかったが、形状や資料などから転車台の可能性が高いという。
 市文化財課の担当者は「断定はできないが、位置などから那覇駅の転車台の可能性が高い」と指摘し、「もしそうであれば、沖縄の鉄道史を物語る貴重な史料となる」と強調した。
 同地区には地上11階、地下1階建ての複合施設が建設され、新たなバスターミナルも入居する。2018年には工事を完了する計画だが、遺構発見が今後、工事の進展に影響を与える可能性もある。
 軽便鉄道は1914年に開業。唯一の転車台が設置されるなど起点駅として機能した那覇駅だったが、44年の「10・10空襲」で設備のほとんどが喪失した。(久場安志)

県営鉄道の転車台とみられる遺構が発見された那覇バスターミナル跡地。ブルーシートで覆われた周辺で見つかった=20日、那覇市旭町