琉球新報「道標求めて」に早稲田ジャーナリズム大賞 本紙3度目


この記事を書いた人 志良堂 仁

 早稲田大学(鎌田薫総長)は21日、同大が社会や文化、公共の利益に貢献したジャーナリストを顕彰している第15回「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」の受賞作品を発表した。公共奉仕部門(応募54作品)で、琉球新報社の「沖縄の自己決定権を問う一連のキャンペーン報道~連載『道標(しるべ)求めて』を中心に~」が選ばれた。琉球新報社が同賞を受賞するのは2004年の「日米地位協定改定キャンペーン『検証 地位協定―不平等の源流』」、05年の「沖縄戦新聞」に続き3度目。

 選考委員会は「新聞のありようとその果たす役割を問い掛けた連載記事として、選考会で圧倒的に支持された」と評価した。
 同キャンペーン報道は、連載「道標求めて―琉米条約160年 主権を問う」(2014年5月1日―15年2月15日)を中心に展開した。琉球国が米国など3カ国と結んだ修好条約に光を当て、琉球国が主権国家であったことを明確にした。琉球併合(「琉球処分」)は、沖縄の自己決定権をはく奪するものであり、国際法上、不正であった可能性が高いことを明らかにした。
 連載全体を通じて、自己決定権の回復によって、基地問題に象徴される差別から脱却し、自立とアジアとの共生を目指す沖縄の方向性を提示した。英国からの独立を問うスコットランドの住民投票などを取材し、自己決定権を行使した海外の事例を紹介した。
 草の根民主主義部門(同39件)では、堀川惠子氏の本「原爆供養塔~忘れられた遺骨の70年~」(文芸春秋)が選ばれ、文化貢献部門(同24件)では、朴裕河(パク・ユハ)氏の本「帝国の慰安婦~植民地支配と記憶の闘い~」(朝日新聞出版)が大賞に輝いた。