商用EV、沖縄県内で製造へ HWEが海外視野に工場検討 国際物流網と労働力に着目


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SDGsの啓発イベント「ハッピーアースフェスタ2022」で軽自動車規格の「ELEMO―K」など小型商用EVをアピールする「HW ELECTRO」の川村竜馬氏=21日、那覇市久茂地

 小型商用電気自動車(EV)を製造販売するベンチャー企業「HW ELECTRO(エレクトロ)」(HWE、東京、蕭偉城(ショウウェイチェン)社長)が沖縄県内への進出を検討している。アジアへの玄関口としての沖縄の地理的特性などに注目している。EVは環境負荷が小さい次世代自動車として需要が高まっており、HWEは2年以内に工場を建設・稼働させることで沖縄を東南アジアを中心とした海外進出への拠点にしたい考えだ。

 HWEは2019年5月に設立した。同社によると、米セントロ社のEV商用車をベースに日本向けに改良し、21年4月にEVの小型商用車として国内で初めてナンバーを取得した。同年7月に小型トラック「ELEMO(エレモ)」、11月に軽自動車規格の「ELEMO―K」を発売した。

 価格はエレモが約323万円から、エレモ―Kが約267万円から。現在100台以上を受注しているが、半導体不足やウクライナ情勢の影響で出荷が追いつかない状況という。

 HWEはセントロ社の工場がある中国・杭州から輸入したベース車を千葉県の工場で日本製の部品に入れ替えるなどして改良している。

 事業の海外展開を視野に入れる中で、沖縄の地理的特性やアジア展開に向けた国際物流ネットワーク、人口増による若い労働力などに着目した。「メードインジャパン」に親和性を持つ東南アジア市場向け車両の開発・製造や、米国向け車両の組み立て拠点として県内に工場を建設し、完成車両を輸出する計画だ。

 県内で25日まで開催中のSDGs(持続可能な開発目標)啓発イベント「ハッピーアースフェスタ2022」で、エレモを展示し、小型商用EVの魅力を発信した。

 HWEの担当者は「温室効果ガス削減へ全世界で取り組む中で、EVの導入は効果的だ。ラストワンマイルの運用にも最適で、ぜひ沖縄でも普及させたい」とアピール。「沖縄を拠点に、日本の高い技術を取り入れた商用EV『エレモ』を沖縄からアジアへ進出したい」と意欲を語る。問い合わせは(電話)03(5962)4161。

(小波津智也)