復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉9月30日「〝兵士に自覚求めた〟在日米海兵隊総司令官」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年9月30日の琉球新報1面トップは、「政局、解散含みに推移/首相、きょう中国から帰国/成果に大きな自信/タカ派『失効宣言』追及へ」との見出しで、日中国交正常化で共同声明を出した田中角栄首相が今後直面する政局を展望している。

 関連して「国会承認を要求/野党、共同声明は条約的性格」と日本の国会野党の動きを伝えている。

 また台湾との関係では「外交的関係断絶を通告/外務次官が彭国府大使に」と国交断絶となったことを紹介。さらに「台湾籍でも不利益処遇せず/在日中国人で方針/法務省」と、約5万1千人いる在日中国人のうち約半数の2万6千人の台湾籍の人たちの処遇について日本政府の方針を伝えている。

 米軍キャンプ・ハンセン内の米兵による日本人従業員射殺事件で「〝兵士に自覚求めた〟/在日米海兵隊総司令官語る」との見出しで、上京中の県議会代表団が、東京・府中市の在日米軍司令部で会談した在日米軍海兵隊総司令官の対応内容を紹介している。

 記事では、スノーデン総司令官(少将)が、県議団が求めた身柄の即時引き渡し、完全補償、米軍人・軍属の犯罪根絶の要求には明確な回答はせず「兵士個人が米国を代表している自覚のもとに行動するよう指示した」と応じたことを伝えている。

 関連では「6日に抗議県民大会/射殺時件/出身地の具志川市で/復帰協」との見出しで、県民大会の開催を告げている。

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。