那覇軍港での訓練、離島含め広範囲に飛来…オスプレイの運用激化、安全性に残る疑念 沖縄配備10年


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
那覇港湾施設で米軍のMV22オスプレイから降りる米兵=2022年2月8日(喜瀨守昭撮影)

 1日で配備から10年となった在沖米海兵隊のMV22オスプレイは普天間飛行場を起点に、本島中北部の各基地を飛び交うほか、那覇港湾施設でも訓練を実施した。海兵隊の作戦構想と連動して運用が激化する一方で、政府側の安全性に関する当初の説明とは食い違いも生じている。

 普天間飛行場に所属するMV22オスプレイは、海兵隊が離島を臨時拠点化する作戦構想「遠征前方基地作戦(EABO)」に対応した訓練を繰り返す。今年2月の海兵隊員約7千人が参加した大規模訓練では北部訓練場や伊江島補助飛行場を展開先の離島に見立て、隊員を輸送した。日米は台湾有事下に南西諸島でEABOを展開し、拠点化する共同作戦計画原案を策定している。

 オスプレイの特性から、異例の運用もされる。米軍が今年2月、那覇港湾施設(那覇軍港)で実施した大使館警護などを想定した訓練にも飛来し、兵員などを輸送した。奄美大島など南西諸島を含む県外各地でも低空飛行訓練を実施する。

 また、外来機として横田基地所属の空軍型CV22や、米空母所属の海軍型CMV22なども嘉手納基地などに飛来している。CV22は津堅島訓練場水域でのパラシュート降下訓練のほか、宮古・石垣島北方で航空自衛隊機と捜索救難訓練も実施している。

 一方、日本政府が離島防衛などを念頭に導入した陸上自衛隊のオスプレイも、県内での運用の可能性が取りざたされている。陸自仕様も基本構造は米軍仕様と同じで、安全性には疑念が残る。

 ある陸自関係者は、整備・点検を徹底していることから、同じ機体でも日本側がより安全性が高いと自負する。一方で「米軍は実際に戦争をしている部隊。実戦的な訓練をしているから(安全性が後回しになる)」と擁護した。自衛隊は有事を想定した訓練などで米軍と一体化を深めようとしている。部隊運用が実戦に近づくにつれ安全性が軽視される恐れもある。

(塚崎昇平、明真南斗)

 


【関連記事】

墜落や部品落下、騒音被害…飛行方法も順守されず 政府の当初の説明と食い違い オスプレイ沖縄配備10年

【識者談話】オスプレイ県外分散は可能 沖縄への集中、ぜい弱性増す 野添文彬・沖国大准教授