「振動や騒音で気分が悪くなる」…低周波音の影響を心配 北部住民「私たちの命の保証、誰が」<欠陥機今も~オスプレイ配備10年~>下


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米軍北部訓練場付近の県道70号上空を低空飛行するオスプレイ=2021年8月20日、東村高江(「ヘリパッドいらない住民の会」提供)

 集落を囲むように米軍北部訓練場の六つのヘリパッドが建設された東村高江。住宅地上空での低空飛行や夜間訓練は後を絶たない。「ヘリパッドいらない住民の会」の伊佐育子さん(61)は「旋回して自宅上空を何度も通過する。振動や騒音で次第に気分が悪くなる」と、低周波音の体への影響を心配する。

 ヘリパッド建設で国は当初、オスプレイ配備を懸念する区民に「沖縄に来るとは聞いていない」と説明した。しかし今、オスプレイの飛行は高江の日常だ。伊佐さんは「県民が強く反対しても配備を強行した」と悔しさをにじませつつ「高江の現状や私たちがここに住んでいることを伝えるためにも、米軍の監視は継続していく」と力を込めた。

 15カ所ものヘリパッドが点在する宜野座村。一つ一つに鳥類にちなんだ名称が付けられている。その一つ「ファルコン」から突然、オスプレイが住宅の軒先をかすめるように物をぶら下げ飛び立ったのは4月だった。

 住民の50代女性は重低音を伴う騒音と粉じんに悩まされてきたが、我慢の限界を超えた。女性は「私たちの命の保証は誰がするのと言いたい。つり下げ訓練は怖い」と振り返る。上空で物をつり下げることはなくなったが、オスプレイは昼夜問わず今も現れる。このヘリパッドがある城原区事務所によると、オスプレイを含む60デシベル以上のヘリ等の騒音は21年度の1年間に4172回に上る。80デシベル以上に限っても541回だ。

 記者が事務所を訪れた9月21日もオスプレイは垂直離着陸と旋回を繰り返した。大嶺盛光区長(61)は空と金武湾を眺めながら「あれさえ飛ばなければよい所なのだが…。小さな沖縄でやることなのだろうか。民間地での訓練はなくしてもらいたい」と語る。宜野座村は特に住宅地に近いヘリパッド「ファルコン」(城原区)と「アウル」(松田区)の撤去を求めているが、見通しは立たない。

 名護市でも飛来は続く。米軍キャンプ・シュワブには6カ所のヘリパッドがあり、オスプレイが利用する。豊原区の宮城直美区長は「前ほどではないが集落の上空を飛ぶことがあり、騒音が響く」と声を落とす。シュワブ周辺の辺野古、豊原、久志3区では沖縄高専の裏にあるヘリパッドなどの撤去を求めている。宮城区長は「防音対策も求めたいが、そもそも集落の上空を飛ばないでほしい」と語った。英語教室を開く男性(80)は「騒音で授業が中断することがよくある」と指摘する。「ただ若い人はこの状況が当たり前になっているのではないか」と声を落とした。

(増田健太、岩切美穂、長嶺晃太朗)