配偶者の同意なく中絶 医師に慰謝料求め提訴 控訴審、12月に判決 福岡高裁那覇支部


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
福岡高裁那覇支部

 人工妊娠中絶の際に求められる配偶者同意を巡り、妻が自身の同意を得ずに中絶して精神的苦痛を受けたとして、男性が施術した県内の医師に慰謝料を請求する訴訟を起こしたことが4日までに分かった。一審那覇地裁沖縄支部は請求を棄却し、男性が控訴。4日、福岡高裁那覇支部で結審し、判決日は12月5日に指定された。

 母体保護法は「本人と配偶者の同意を得て中絶を行うことができる」と規定する。離婚している場合などは同意は不要とされる。国連女性差別撤廃委員会は、日本に配偶者同意の要件を削除するよう勧告している。

 医師側代理人の日高洋一郎弁護士によると、男性の妻は2017年に県内の医療機関を受診し、中絶を希望した。当初、離婚協議中で同意が得られず、夫からDVのような行為もあったと説明。その後、既に離婚したと話し、医師が中絶手術を行った。だが、離婚は成立しておらず、20年に男性が提訴した。

 男性側はDV行為を否定。離婚したかどうかについての妻の説明は変遷しており、医師側は確認の義務があったと主張している。日高弁護士は、DVがないと証明するのは困難で、現場の医師の判断は尊重されるべきだと強調。「中絶は女性自身の自己決定権に基づくものだ」と述べた。