嘉手納防錆格納庫移設計画の見直し求める 沖縄県議会が全会一致で決議 パパループ地区の恒常的使用を懸念


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嘉手納飛行場内の「パパループ」地区への防錆整備格納庫移設計画の見直しを求める決議、意見書を全会一致で可決した県議会9月定例会本会議=18日午前、県議会

 沖縄県議会は18日の9月定例会最終本会議で、嘉手納基地内の旧駐機場「パパループ」地区への防錆整備格納庫移設に対し、計画の見直しを求める決議案と意見書案を全会一致で可決した。決議は大規模な施設を整備する計画について「嘉手納町民はもとより、県民へもたらされる基地被害の増大が容易に予想され、同地区内の恒常的使用につながりかねない」と指摘し、見直しを強く求めた。

 防錆整備格納庫の移設計画を巡っては、嘉手納基地に駐留する第18航空団の司令官が5月、嘉手納町長に対して格納庫をパパループ内の住宅地側の区画に規模を拡大して整備する予定だと説明し、表面化した。

 嘉手納町議会は周辺環境に大きな影響を与えるとして、7月に即時撤回を求める決議を全会一致で可決した。一方、米側は格納庫建設を前提とした文化財調査に着手していることが8月に明らかとなっている。

 県議会の決議は「日頃から繰り返される戦闘機等の離着陸および飛行訓練に伴う騒音被害に加え、居住地に近接するパパループ地区付近からエンジン調整音等の地上騒音が昼夜を問わず鳴り響き、排気ガスの悪臭により平穏な日常が大きく影響を受けている」として、基地から派生する周辺住民の被害を訴えた。

 その上で、課題が山積する中での格納庫の移設計画に対して「いかなる理由があるにせよ、本県議会は県民の生命・財産および生活環境を守る立場から、パパループ地区への防錆整備格納庫移設計画の見直しを強く要求する」と強調した。

 決議の宛先は駐日米国大使、在日米軍司令官、在日米軍沖縄地域調整官、第18航空団司令官、在沖米国総領事。意見書の宛先は首相、外相、防衛相、沖縄担当相。県外機関は郵送し、県内の機関には直接、決議を提出する。