那覇、市歌も合併を 首里・真和志・小禄の旧3市村の詞追加へ


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旧那覇市以外の地域を歌った新たな歌詞選定を目指す那覇市歌選定委員会首里地域部会の初回会合=8月31日、市役所首里支所

 「あけぼの清き 南(みんなみ)の」で始まる那覇市歌について、市が1929年の制定以来になる新しい歌詞の選定作業を進めている。合併前の旧那覇市だけに触れた歌詞を現状に合わせて刷新しようと、過去に2度の公募が行われたが、新たな市歌誕生には至らなかった。ことし3月に選定委員会を設置した市は、現在の3番の後に旧市村を歌う詞を追加する方向性を打ち出し、市歌では実現していない「4市村合併」を目指している。

 市によると、現在の市歌は市制施行10周年を記念して制定されたとされ、作詞を県立第一高等女学校教諭の安藤佳翠(かすい)、作曲を「えんどうの花」などで知られる宮良長包が担当した。「奥武山」や「波の上」といった旧那覇の地名や情景が盛り込まれている。
 市は54年、旧首里市や旧小禄村との合併を記念して市歌を一般公募した。しかし募集中に旧真和志市との合併に見通しが付いたため、募集を新市誕生後に再度行うことにしたが、結局は再公募されなかった。
 それから約半世紀後の2002年、市制施行80周年を記念して歌詞を公募したが、当時の市歌選定委員会での選考は難航。最優秀賞に該当する作品がなかったため、新市歌の実現はまたしても見送られた。
 市は現在、選定委の下部組織として4地域での作業を進めている。部会では市議や地域の有識者ら部会員が調査・審議し、その内容を集約した上で年度内に新市歌を選定する方針だ。
 選定される新市歌は、曲はそのままに歌詞を7番編成とする予定。
 市の担当者は「旧那覇市以外の市民から『自分の住む地域を歌っていない』という声が上がるなど、市歌は広く親しまれているとは言えない。新たな歌詞を加えることで、全市民に知ってもらいたい」と話した。
 8月末に開催された首里地域部会の初回会合で城間幹子市長は「旧那覇市の風光明媚(めいび)な景色を歌っているが、より市民の連帯感や郷土愛の醸成を図るべく、地元への思いを込めた新たな歌詞を作ることになった」と強調した。(久場安志)