授乳後にぐったりする妻、そのとき夫は…男性社員の育休体験記~国際男性デーに考える(下)【WEB限定】


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赤ちゃんを見つめる嘉手苅さん。「育児は男性も母乳をあげること以外は何でもできる」と語りました。

国際男性デーにちなんで男性の育休取得について考えるインタビューの後半です。琉球新報デジタル推進局社員で、育休から復帰したばかりの嘉手苅さんの体験を通して考えます。前半では、育休に入るまでに職場や家庭での準備期間を振り返ってもらいました。後半ではいよいよ始まった子育ての中で、出産直後の母親特有の苦労が見えてきたと語ります。

(聞き手・慶田城七瀬)

 >>自分が職場を抜けたらどうなる?男性社員が育休を取って見えてきたこと~国際男性デーに考える(上)【WEB限定】

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ーいよいよ子育ての始まり。育休に入ってから大変だったことは。

 全てが子ども中心の生活になりました。起きる時間や寝る時間、外出する時間にしても夫婦各自のタイミングで決まっていたものが、子どもの生活リズムを整えるため、寝かしつける時間や、空腹で泣く朝の時間など、子どものリズムで夫婦の生活リズムも決まっていきました。

 最も大変なことは、自分のタイミングでやりたいことができないことです。個人差はあると思いますが、抱っこをやめると泣く時期、いわゆる「抱っこマン」の時期が子どもにはあります。

 今も育休期間中の妻に聞いたのですが、寝かしつけて家事やお風呂に入ろうと思っていても、ベッドに寝かせた瞬間に目覚めたり、眠りが浅かったりして、1日中ほとんど何もできない、ということがよくあるようです。私も妻の外出中に「ワンオペ」で4時間程度、子どもの面倒を見ましたが、ミルクと抱っこで時間が過ぎていきました。

 

赤ちゃんと外出する嘉手苅さん

 

 

ー育休期間を振り返ってみて感じたことは?

 日本全国の男性は短い期間でも出産直後の育休を取るべきだと思います。育児を丸一日、パートナーである妻と一緒にやることで、育児がどんなに大変なのか理解できます。妻とずっと一緒にいて、母親特有の苦労があることにも気づきました。

  例えば、1日10回以上授乳していますが、その後にぐったり脱力していたことです。また、子どもが授乳後に吐き戻しや鼻づまりになったりすると、母親は過剰に心配する精神状態になるようです。その苦労を把握していれば、妻のフォローができると思います。

 育児を夫婦で支え合ってやることは大前提で、妻にばかり任せていないということで誇りや自信にもなりました。育児では、母乳をあげること以外は男性も何でもできると思います。子どもから見ても一生懸命な父親がカッコイイと思います。

 

ー育休を経て仕事に復帰しましたが、不安はありましたか?

 2カ月ぶりに復帰したのですが、やはり仕事を忘れていることが多かったです。まさに今は「浦島太郎の状態」です。周囲の同僚も温かい目で見守ってくれているので、リハビリしながら調子を取り戻したいと思います。

 復帰してからは定時で終業することをさらに意識するようになりました。妻が1人で子どもを見ているので精神的・肉体的な負担が心配でもあります。洗濯や食事など早めに帰宅して家事をするようにしています。

 今後は、妻が職場復帰したら子どもは保育園に入園するので、送迎などでまた生活が大きく変わる時期が来ます。それもまた少し不安ではあります。

 

ー育休を取りたいと思っている男性にアドバイスするとしたら?
 
 私としては、育休期間中、妻の苦労を知り、そして子どもが成長する瞬間を仕事のことを考えずじっくり見守ることができました。この時間があったことで、親としての責任感と子どもへの愛情を高めることができ、家族との接し方の土台を築くことができたと思います。出産後に妻が退院して助産師さんから赤ちゃんを渡された瞬間に「この子を守るのは自分なんだ」と思いました。助産師さんは家に付いて来ないです。

 

イメージ写真

 

 育休は私たちの権利ですが、職場の都合でかなわないこともあります。同年代は出産ラッシュですが、育休取得した男性の友人は1,2人でした。県内企業に勤める友人は、自分の仕事を他の人に仕事を任せることが難しかったようで、一時は育休取得が危ぶまれたようですが、引き継ぎに注力し、どうにか取得できたようです。

 友人の1人は公務員でしたが、人繰りができないことで育休が取得できなかったようでした。

 取得できる環境は自分でつくることも現実問題として必要だと思います。まず、代わりの人員を配置してもらうために、早めに育休取得の意思を伝えたほうがいいと思います。

 そして、自分の業務が属人化しているのならば、業務を細分化して効率的な引き継ぎ方法を考える必要があります。

 入社歴が浅いので就職説明会やインターンシップの学生と接する機会が多いのですが、育休がしっかり取れる職場であるということも、若い世代でも就職する企業を選ぶ基準になっていると感じます。自分の育休体験も踏まえつつ、機会があればもっと語っていきたいと思います。

(了)

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