「皆さんの学校だったら。想像してみて」保育園米軍ヘリ部品落下から5年 当時の保護者が広島の高校生に平和講話


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
生徒の意見に耳を傾ける登壇者=6日、那覇市の県立博物館・美術館

 「安心・安全を脅かされている子どもが沖縄にいることを覚えていてほしい」。2017年12月7日の緑ヶ丘保育園への米軍ヘリ部品落下から5年がたった。緑ヶ丘保育園、普天間第二小、普天間小の保護者らで結成された「#コドソラ」の宮城智子さんと与那城千恵美さんは6日、那覇市の県立博物館・美術館で広島県立呉三津田高校2年生178人に講話を行い、沖縄の現状を伝えた。

 「『わたし』は『平和』をどう語り合うか」と題して「良い対話」や「誹謗(ひぼう)中傷」をテーマとした。米軍機の学校上空の飛行禁止を求める活動中に「自作自演だろ」などの誹謗中傷を浴びた経験を話した。続いて、県内で平和ガイドなどを行う沖縄国際大学の名嘉眞伶さん、本紙客員編集委員の藤原健さんを交えて学生と討議した。

 事故後、保育園には子どもの昼寝中にも誹謗中傷の電話がかかってきた。宮城さんは「みなさんの学校だったら、と想像してほしい」と呼びかけ「相手の立場でものを見る想像力が大事だ」と生徒に伝えた。

 学生たちも身近なSNSと照らして議論した。「誹謗中傷の始まりは軽いノリやいきおいだ。言われた人の立場で考えると防げる」との意見が出た。名嘉眞さんは「相手を受け入れた上で意見発信することが大事。それが平和的な解決になる」と語り掛けた。藤原さんは「無関心が上質なコミュニケーションの妨げだ。平和の最大の敵とも言われている」と強調した。

 広島で平和学習を経験してきた生徒(17)は「原爆が落ちた日時は言える。自国のことなのに他県の友達が言えないことが驚きだった。しかし自分も沖縄のことを知らないと思った。広島以外も絡めて平和を学んでいきたい」と平和への思いをさらに強めた。
 (金盛文香)