沖縄の高齢者施設、再び面会制限の強化も…コロナ感染1000人超、拡大を警戒


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「警戒レベルを「感染拡大初期」に引き上げると発表する玉城デニー知事=22日午後、県庁(代表撮影)」

 新型コロナウイルスの新規感染者数が1日千人を超えたことで、沖縄県内の高齢者施設では警戒感を強めている。感染後の死亡者は高齢になるほど増え、感染経路別では入所施設の割合が高い。年末年始は帰省などで面会の要望が増える傾向もあるが、面会制限を緩和していた施設も再び引き締め始めている。 

 県によると、施設内感染などで県対策本部が支援に入っている社会福祉施設は49カ所で内訳は高齢者施設46カ所、障害者施設3カ所。施設内療養者は高齢者施設184人(酸素投与3人)、障害者施設15人の計199人と増加し続けている。

 県老人福祉施設協議会の金城武会長は「マスクができない入所者もいるため施設内感染は一瞬で広がる」と、夏場の流行第7波と同様の事態になることを恐れる。県老人保健施設協議会によると、すでにクラスター(感染者集団)が増え始めているという。

 社会福祉施設には感染対策の蓄積があるものの、施設内感染は職員が持ち込む事例も少なくない。流行第7波の収束後、県は社会福祉施設への定期PCR検査事業を一時停止していたが、感染拡大を受けて12月中旬から再開している。金城会長は「職員と入所者を守るためには、県の検査事業も対策の要になる」と話した。

 感染対策が強化される一方、面会の制限は厳しくなりそうだ。金城会長によると、制限緩和中はアクリル板を用意しても、思わず抱き合う家族もいたという。遠方の親類向けには端末を利用したオンライン面会も定着したが、県老人保健施設協議会の担当者は「対面希望の家族は多い。入所者にとってまた寂しい時期がきてしまうかもしれない」と語った。
 (嘉陽拓也)