【記者解説】割れる与党会派、相次ぐ退席…軍港離着陸中止の意見書、那覇市議会で「賛成多数」に至るまで


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意見書に関する公明の翁長俊英氏(右端)の質疑に答える野党3会派の代表(左)=22日、那覇市議会議場

 那覇市議会では3月にも那覇軍港で米軍機の離着陸や訓練を一切しないよう求める意見書を賛成多数(賛成26、反対12、退席1)で可決している。当時は公明会派も賛成したが、今回は退席した。それでも、自民会派は与党系市議の反対で否決できると踏んでいたが、反対と退席で割れ、一枚岩とはならなかった。

 公明は退席の理由について「議論の時間が足りない」とするが、この問題を巡って沖縄防衛局と交渉中の知念覚市長への配慮も見せる。

 意見書に対する質疑で、公明の翁長俊英氏は「意見書が当局の努力を後押しするものならいいが、今後の交渉に水を差し、逆効果になりかねない」と述べた。一方、同会派の糸数昌洋氏は「当局と議会は別だ」とした上で「那覇市議会でも基地問題の議論を深めるために特別委員会が必要だ」と指摘した。

 自民会派は、公明が退席したとしても、自由民主と無所属クラブなどが反対すれば、賛成と反対が同数となり議長裁決で否決されるのではないかとの見立てだった。だが実際は自民以外の与党系会派は退席した。

 無所属クラブの當間安則氏は野党の意見書提出の進め方に不満を示しつつも「3月は同様の意見書に賛成したのに今回は反対というわけにはいかない」と説明した。

 3月は意見書に反対した自由民主の粟國彰氏も「今回、みんなの意見が一致しなかった。市民のことを考えるとオスプレイが那覇軍港に来るのは良くないのではないか」と話した。自民の奥間亮氏は「与党一丸となりたいが、残念の一言だ」と話した。
 (伊佐尚記)