【独自】小野寺元防衛相、辺野古関連業者が設立した財団の評議員に 報酬、報告書に記載なし 事務所側「記載すべき報酬ではない」、識者「政治倫理上、重大な問題」


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
小野寺五典氏

 【東京】米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設に伴う名護市辺野古の新基地建設工事で、関連事業を受注する業者の会長が代表理事に就く財団法人の評議員を元防衛相の小野寺五典衆院議員が2020年7月から務めていることが16日までに分かった。小野寺氏は、財団側から報酬も得ており国会議員資産公開法で義務づけられている衆議院へ届け出る報告書に記載していなかった。小野寺氏の事務所は報酬の名目を理由に「記載すべき報酬ではない」との認識を示した。

 神戸学院大上脇博之教授は「与党に影響力を行使できる立場で、防衛政策に関わる業者の関連団体から報酬を得るのは不適切。政治倫理上も重大な問題だ」と指摘する。

 小野寺氏は、安倍晋三政権下の12年12月~14年9月、17年8月~18年10月の二度に渡って防衛相を務め、18年10月以降は、自民党の安全保障調査会の会長に就任している。昨年12月に閣議決定した安全保障関連3文書の改定でも中心的な役割を果たした。

 小野寺氏が評議員を務めるのは「公益財団法人いであ環境・文化財団」(東京都世田谷区)。同財団への取材や公開情報によると、建設環境コンサルタント会社「いであ」(同)が20年5月、環境啓発関連事業や環境などを専攻する学生への奨学金支給事業などを実施する目的で設立し、21年7月に公益財団法人の認定を受けた。小野寺氏は、23年末までの任期で設立時評議員に就任。20年8月、21年4月に3万円ずつ計6万円を報酬として受け取っていた。

 国会議員資産公開法は、公益財団法人を含む法人の理事や評議員などの役員として報酬を得ていた場合「関連会社等報告書」に法人、役職名をそれぞれ記載しなければならないが、小野寺氏は20年以降の同報告書に評議員就任の件を報告していなかった。

 一方、財団を設立した「いであ」は、辺野古新基地建設に関して有識者が助言する「環境監視等委員会」の運営業務を請け負うなど、防衛省が発注する米軍普天間飛行場の移設事業を度々受注。財団設立後の20年から現在までに他企業との共同事業を含め防衛省発注事業を計13件、総額約93億円の事業を請け負っている。

(安里洋輔)