スピリッツ・ジェラート・レトルト… 黒糖加工で「可能性拡大」 多良間産使用、時代合わせ開発


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開発した黒糖スピリッツやアイスをイベントで販売する樋野守取締役=14日、東京都内

 【東京】多良間村の黒糖を仕入れて商品を製造し、東日本を中心に販売している三幸食品(東京都)に、経験豊富な「仕掛け人」がいる。樋野守取締役(57)は、カレーなどで有名なハウス食品から移ってきた2020年4月以降、黒糖を使ったスピリッツやジェラート、レトルト食品など数々の商品を生み出してきた。現在は台湾の企業と連携して黒糖を使った万能調味料を開発し、商品化を目指している。「多良間産黒糖の良さを生かして可能性を皆さんと一緒に広げていきたい」と語った。

 多良間村のサトウキビを加工する宮古製糖多良間工場によると、三幸食品が生産量の約20%以上を購入している。樋野氏はハウス食品で新規の工場・ブランドの発足や経営に携わり、グループ企業の取締役を務めた。この経験を生かし、転職先の三幸食品で黒糖を使った商品開発に取り組んでいる。

 黒糖スピリッツに幸運を意味するしまくとぅば「かふー」にちなんで「CAFU(かふぅ)」と名付けた。今年中の発売を目指す万能調味料「たらまからの贈り物」は、甘みのあるたれのような味で料理にも使える。県内や台湾で販売したい考えだ。

 黒糖を使った商品開発に力を入れる理由には、甘味料そのものの需要が落ちていることがある。「黒糖をそのまま食べる習慣はこのままだと、なくなっていく。時代に合った商品を考えて日々の生活に取り入れてもらいたい」と話した。

 将来的には、生産者と加工業者と共に共同会社を設立する構想もある。多良間村内で商品製造までできれば、費用を下げて地元への還元率を高めることが見込まれる。村内での雇用も生まれると考えている。「多良間村の次世代にも可能性をつくらないといけない」と語った。

 (明真南斗)