教員不足対策に初の「ペーパー教師」セミナー 150人参加、教職復帰の不安軽減


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教員不足解消を目的に初開催されたペーパーティーチャーセミナー。150人以上の参加者に、県教育委員会が教職の魅力などを説明した=4日、那覇市の県立図書館

 沖縄県教育委員会は4日、深刻な教員不足の解消を目的にペーパーティーチャーセミナーを那覇市の県立図書館で初開催した。教員免許を取得したが教職経験はない人、しばらく教職を離れている人などが対象で約150人が参加。採用試験を受験できる年齢を超えている人もおり、関心の高さをうかがわせた。

 参加者からは「不安が軽くなった」と、教職復帰の後押しになったという声が聞こえた。一方で「勤務実態の説明は、実態とかけ離れているのでは」と話す人もいた。

 教員の就業実態や魅力などの説明があった。教育の現状については、2020年から22年までに児童生徒数が742人減った一方で、教員は941人増加したと説明。一部の学校で教員を確保できず学級を統合した事例など、教員不足での混乱に関する言及はなかった。

 教員不足については「なり手不足などがある。特別支援学級の増加率は全国的にも高く、教員の採用率を上回っていることなどが理由と思われる」と説明した。最後は校種別に質問に応じた。教員免許を持参し、失効していないか確認する参加者も複数いた。

 約15年間、中学校教員をしていた女性(54)は、子育てが一段落したため復帰を検討している。現場を離れて十数年になる。「長く現場を離れていたので不安があった。疑問を直接確認できるのでとてもいい取り組みだと思う」と話した。

 経験者の女性(43)は宮古島から参加。「復帰したいが業務負担が大きいことへの不安がある。部活動の顧問を持たされると子育てとの両立が難しい。まずは勤務時間が短い非常勤を考えている」と話した。

 30代の会社員女性は「友人が教員をしている。今日の説明は(聞いている)実態と合わない」と指摘した。別の女性は「遠隔地に住んでいる人や小さい子どもがいる人などのために、オンライン参加できるようにするべきだ」と要望した。3月には採用が決まった参加者向けにオリエンテーションを開く。 (嘉数陽)